みなさま、初めまして。渡辺敬介です。今回豊富温泉に行ってきたレポートを、NPO法人アトピーを良くしたいのコラムとして掲載させてもらうことになりました。少しでもアトピーのみなさんの参考になりますように。

 

今年の7月8日から28日まで約3週間、日本最北端の地、北海道・稚内から40km南下したところにあるアトピーに効く温泉として有名な豊富温泉に湯治に行ってきました。まさか、自分が湯治に行くとは一ヶ月前には思っておりませんでした。今回、貴重な体験をしてきたので、せっかくなので皆さんとシェアしたいと思います。

 

まずは私のアトピー歴について

アトピーを発症したのは3歳のとき。良いときと悪いときの波があり、中高大と3年起きくらいに大きく悪化していた記憶がぼんやりあります。部活ができなくなったことや、体育祭に中途半端に参加した記憶はありますが、辛い思いをしていたイヤな時期はなんとなくでしか覚えておりません。記憶で辛さまで甦るわけではないので、人の記憶ってよくできているなと思います。

 

脱ステを決意した2009

社会人になり、働きながら薬を塗ることに煩わしさを感じていた2009年、26歳のときに脱ステに出会いました。薬を塗らなくても済むようになるかもしれないと希望を抱き、脱ステは辛いとは聞いていましたが、なんとなく脱ステを始めました。実際、脱ステ開始してからの1年間に2度、大きなリバウンドがありました。学生時代も相当苦しい想いをしたはずですが、そのときのリバウンドはまさに地獄の日々で、これまで苦しんだアトピーとは比較できるようなものではありませんでした。

脱ステのリバウンドを数回乗り越えてからのここ数年、ステロイドなどの薬は塗らずに過ごせており、普通の人と変わらぬ生活をしていました。しかし、昨年末に突然悪化してしまいました。忙しく働いていたので、なるべく早く抑える必要もあり、この状況をどうしようかと悩みました。抑えたいと考えたときの選択肢で真っ先に思いつくのはステロイドです。信頼できる医師のもとコントロールすれば大丈夫だろうと、運動療法とともに数ヶ月だけステロイドを試しました。しかし、残念ながら思ったように良くはなりません。ステロイドでアトピーをコントロールすることは難しいというのが私の実感です。だいぶしんどくなったので、仕事が一段落する目処がついた今年の6月に休職に踏み切ると同時に、初めて藤澤皮膚科にかかることに。そして改めて脱ステ&脱保湿を実行することにしました。

 

脱ステ 脱保湿、脱風呂も実施

乾燥肌(多くのアトピーの方)にとって脱保湿って、恐怖心ありませんか? 1回目の脱ステの際は脱保湿に抵抗があり、私はしませんでした。実はこれまで冬の乾燥の激しい時季に関しては、LUSHなどのボディクリームで保湿をしていて、薬もつけず順調だったので、乾燥くらいは割り切っていました。保湿さえしていればアトピー症状にほとんど悩まされないので、脱ステだけで大丈夫だと思っていました。しかし、悪化してしまったのだから仕方ないですよね。今回は、脱保湿が新たな取り組みです。

脱ステ&脱保湿を実施した6月、すぐにリバウンドで苦しみました。慣れない脱保湿も数日ほどでなんとなく慣れて、風呂を断つこともできるようになりました。それに、今回の脱ステは2度目なので、リバウンドも以前より短く感じ (それでも辛さは変わりませんが) 、6月の終わりにはだいぶ良くなりました。さすがに一ヶ月では、一目でアトピーのひどい症状だと分かるレベルだったため休職を延長することにしました。今回休職できたことをいい機会に捉えて、回復してきた勢いもあり、折角ならと北海道最北端・稚内の手前にある豊富温泉に湯治に行くことにしました。

豊富2

 

豊富温泉って、こんなところ

有名なところなのでご存知の方も多いかと思いますが・・・私はこれまで順調だったので軽く耳にしたことがある程度でした。

弱アルカリ性で高張性の温泉は肌にやさしく、温泉成分が体内に浸透しやすいと言われます。成分に多く含まれる重曹・ホウ素は皮膚を綺麗にする・殺菌効果が高いという特徴があります。また豊富温泉の最大の特徴である油分は、保温保湿効果が高いと言われ、乾癖やアトピーに対しては、油分に含まれるタールが抗炎症作用を発揮すると考えられます。

まず期間については、温泉療養を目的とした湯治なので、3週間くらいを目安に(少なくとも1週間以上)滞在する方が多く、私も20日間お世話になりました。豊富温泉の源泉は多量の油(タール成分)を含んでいて、ぬめりのある茶褐色。入浴回数は1日2〜3回、私は1回あたり45分から1時間程度の入浴をしていました。38℃から39度に設定されているので、ゆっくり温泉につかれます。男風呂では毎回10名前後の方たちが入浴していて、初めて湯治に来ている方も、何度も来ているリピーターさんも色々な方がおります。実際、お風呂で話してみると皆さん、全国津々浦々から豊富温泉に来ていて、仕事も人それぞれでした。

アトピーの方同士で接する機会って、NPO法人アトピーを良くしたいが開催しているアトピーサロンもそうですが、あまり日常の中には機会がないですよね。北海道まで一人で行くことに不安を感じる方もいるかもしれませんが、一人でアトピーに悩んでいる方にこそ、勇気をもって行ってもらいたいと思います。入浴している方たちはアトピーという同じ悩みを抱え、毎日顔を合わせるので自然と仲良くなれます。本音で話せるようになりますし、なにより人目を気にせず気軽に話せるのでとてもよかったです。

ここで気づいたことは、私はこれまでアトピーの原因を、東京だからか?仕事が忙しいからか?などと考えておりましたが、どうやらそういった訳ではないようです。

後半では私の写真とともに経過を綴っていきます。

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