こんにちは。NPO法人アトピーを良くしたい(アト良く)プロボノチームで活動している山下葵です。

「アトピーと仕事」のテーマとはアトピーサロンでもよく出される話題です。私自身、成人性アトピーで悩み、仕事のストレスでアトピーが悪化し、休職を経験しています。人材派遣会社で働いて人の仕事に関わる仕事をし、キャリアカウンセラーとして活動している私としてはとても興味深い話題のひとつでもあります。

アトピーと仕事の両立で悩んでいたとき、私はアトピーサロンに出会いました。働いている方が多いので、アトピーを抱えながらそれぞれが仕事とのバランスに悩まれていることを知りました。

 

・退職をされた方

・正社員からアルバイトに変えた方

・休職をされた方

・自分はアトピーですと伝えて折り合いをつけている方

・フリーランスになった方

など、それぞれの道を悩みながら選択をされていたのです。

 

ある日のアトピーサロンでこんな話題が出されました。

「アトピーの方に向いている仕事ってある?」

 

果たして、私たちアトピーに向いている仕事はあるのでしょうか。

 

私が一番悪化したのは、営業の仕事をしながら仕事のストレスに悩んでいたときでした。その時期に一番つらかったのは人と会うとき。顔が真っ赤に腫れ上がったときにはマスクをしていましたが、周りの目が気になって仕方ない。「汚いって思われているんじゃないか。あの人アトピーだってきっと言われている。」そんな被害妄想が止まりませんでした。顔の腫れはステロイドで抑えていたものの、顔の赤みはなかなかひかずにずっと苦しんでいました。

 

一方で私自身が派遣会社のコーディネーターとして、アトピーの方と登録面談でお会いすることもあります。私が担当しているのは販売系の仕事ですが、どうしても見た目に分かる症状がある方だと仕事をお願いするのを躊躇してしまうことがあります。正直なところ、人前に出る仕事は、特に顔の症状がひどい方だと仕事を紹介するのは難しいのが現状です。周りの社員が面談した後「あの人アトピーだから接客は無理そう」という話をしているのを耳にすることもあり、胸が痛みます。

 

とはいえ、客観的な視点からいえばアトピーが出ている人に、人前に出る仕事に紹介はしづらい。当事者の気持ちが分かる分、その判断をせざるを得ないときには、身を切るような思いでいっぱいになります。

 

上記の経験から、アトピーが表面上出ている方は対面の仕事はなかなか就職しづらい現状があると考えられます。ですがもちろん対面の仕事が絶対だめ、というわけではない。アトピーの方は積極的で行動的な方も多いので、対面して営業をする仕事が向いている方もいらっしゃいます。自分が「アトピーが出ている」と思っても、傍目から見れば症状によっては許容範囲だったりします。顔のアトピーが気になるようであれば、私のようにステロイドを使って抑える、というのもひとつの手だと思います。

だからといって事務やコールセンターなどの内勤の仕事に就くのが正解なのか、というとそういうわけでもありません。事務職は正確性が求められ、職場によってルーチンワークをこなすばかりというところも。淡々と業務をこなすような仕事が向いていない方は苦痛になるでしょう。また、内勤の仕事とはいえ、人に関わらない仕事は在宅ワーク以外ありえない。

 

そうしたことを考えると、アトピーだから向いている仕事、向いていない仕事という概念はないのかな、と考えています。

 

私はキャリアカウンセラーの勉強をし、活動する中で、「自らの経験をカウンセラーと話すことで自分らしさが見えてくる」ということを学びました。それはアトピーであってもアトピーでなかろうと関係はないのではないでしょうか。「私はアトピーだからこの仕事をする」という考え方ではなく、自分に本当に合っている仕事を見つけることが大切だと私は思っています。それが結果的にはストレスをかけずに働き続ける秘訣につながるのではないでしょうか。

 

もちろんアトピーの方には仕事内容だけではなく、職場環境も重要。できれば人間関係も良好なところが望ましい。仕事内容もあまりにハードでストレスがかかったり、残業時間や休日出勤が多いような仕事も体調を崩しやすくなります。なかなか難しいですが、できる限り事前に情報を仕入れておきたいものです。

自分はどれくらい負荷がかかると悪化するのか、季節によって変わってくるのか、など、今までの仕事とアトピーの症状との関係を振り返っておくのもいいでしょう。私はストレスで悪化をするタイプだと知ったので、今の会社にとどまり、仕事を続けるという選択肢を取りました。長く在籍することで融通が利くことがあります。

 

私はアトピーだからこの仕事しかできない。という選択ではなく、私はこの仕事がやりたい!という前向きな気持ちが、アトピーを持っていても生き生きと働く人を増やすことにつながる、と考えています。

なかなかすぐには無理かもしれないけれど、アトピーがある、ということを制約にするのではなく、まずは自分自身を見つめ直すことから、自分に向いている仕事を見つけていける世の中にしたい。そのためにも私自身も活動をしていきたいと思います。

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