こんばんは。アト良く事務局のけべんです。

8か月に渡って、月刊誌「健康365」でNPO法人アトピーを良くしたい(アト良く)のコラムが掲載されました。アマゾンで購入することもできます。文字に起こしました。少しでもみなさんの励みになると嬉しいです。

 

★☆★☆ 6月号 ★☆★☆

「よくなった経験からNPOを設立しました」

私自身がつらいアトピー性皮膚炎(以下、アトピーと略す)を経験し、克服してきました。自分だけが改善して『はい、終わり』と人ごとにはできず、アトピーの人やその家族にもっとHAPPYになってほしいという思いから、『NPO法人アトピーを良くしたい(以下、アト良くと略す)』を設立しました。
現代の医学でもアトピーの原因は解消されず、特効薬もありません。私たちは『100人のアトピーの人がいたら、100通りのアトピーのよくなり方がある』という考え方を大切にしています。
アトピーが改善する方法は一概にいえません。ステロイド外用剤を使う標準療法や脱ステロイド療法、漢方療法など、それぞれのやり方で良くなる人はいます。一方で、アトピーがよくならない人も少なくありません。
やり方論も大切ですが、あり方論も大切にしたいんです。あり方論とは、その人の心ややる気、動機づけがどのような状態になっているかに焦点を当てることです。
アト良くの活動は、主に二つあります。一つめはアトピーサロンです。毎月、約10名のアトピーの人や家族向けに、情報交換とワークショップを行い、五八回開催してきました。
二つめは、アトピーカウンセリングです。カウンセラーからカウンセリングを受けることで、生き生きと楽しく過ごしている人もいらっしゃいます。
アトピーの私たちが何を感じているか、うれしかったことや悲しかったことを伝えていければと思います。アト良くの色濃いメンバーが登場していきますので、次回もお楽しみに!

★☆★☆ 7月号 ★☆★☆

「アトピーをよくするのは自分自身です」

私の経験からいえるのは、「アトピーは必ずよくなる」ということです。私は生まれつきアトピーで、二十七歳まで重度でした。ステロイドに始まり、脱ステロイド、漢方、海水療法、馬油、サプリメント、運動、鍼灸・・・試したものを挙げたらキリがありません。それでもよくならなかったんです。
二十五歳のとき、仕事に追い込まれてアトピーが極度に悪化。このままでは自分の人生が終わるかもしれないと思い、「アトピーをよくしよう」と決断しました。
汗をかくとかゆくなり、かいて悪化。しかし、汗をかくこと自体は気持ちがよく、かきさえしなければ皮膚も調子がいいんです。汗をかくために、ジムに通ってウエイトトレーニングとランニングを始めましたが、一ヶ月ともたずに断念。理由は二つあって、一つは汗をかいた後にタオルでふくくらいでは耐えきれずにかいてしまうこと。もう一つは、ジムのロッカーで周囲からボロボロの皮膚を見られているような気がしたからです。
汗をかくことには手ごたえがありました。問題の二点を解消できる半身浴を試すと、汗をすぐに流せるのでかゆみを軽減できたのです。一年以上、毎日二時間は入りました。三八度くらいのぬるま湯に浸かりながら、二リットルもの水を飲みました。
何となく行動していてもアトピーの改善はできません。みずからがよくすると宣言することで行動がほんものとなり、結果が出ます。気がついたころには、ぐっすり眠れるようになり、アトピーがよくなっていました。

★☆★☆ 8月号 ★☆★☆

「アトピーを受け入れたら振り回されなくなりました」

私は生まれてすぐアトピーと診断されました。先生からは「まれに見る重症」といわれたほどです。壮絶な学生時代を乗り越え、いまではアトピーだというと驚かれるくらい、見た目に症状は出ていません。
しかし、ひょんなことで再び症状が現れてかゆくなるんです。症状が出るたびに「なんで私だけがこんな体なんだ!」と、どん底な気分になっていました。
私がアトピーを受け入れられたきっかけは、社会人になって転職後に劣悪な環境で働いていたときのことです。再びアトピーが大悪化し、「なんで私だけ!」を通り越して「ああ、私はアトピーなんだ」という事実が胸に落ちて穏やかな気持ちになりました。
この体とつきあうのなら、アトピーにかかわることをしたいと思ったんです。
私は親しい友人にさえアトピーでつらかった過去を話したことはありませんでしたが、すぐにブログを開設し、自分が経験したことやアトピーの写真を載せはじめました。その後、NPO法人アトピーを良くしたい(アト良く)に所属し、理事として活動を始めました。
アト良くのイベントを通じて、アトピーへの向き合い方は人それぞれだと感じています。私の場合はアトピーをすんなりと受け入れることができて、振り回されなくなりました。症状が出たとしても「なんとかなるだろう」と前向きに考えられます。
私にとって自分の体験を隠さずに伝えるきっかけがあったから、よくなったと思います。アトピーの方には、改善する「きっかけ」を見つけてもらいたい。そのきっかけを探すことをアト良くの活動でお手伝いできたら、これ以上の幸せはありません。

★☆★☆ 9月号 ★☆★☆

「アトピー治療に参加したら子どもの症状が改善しました」

はじめまして。「NPO法人アトピーを良くしたい」理事の長友佑樹です。
私には八歳の娘と五歳の息子がいます。たまたまなのか運命なのか、二人ともアトピーです。おかげさまで、いまは首や関節に湿疹やかき傷が見られる程度までによくなりましたが、幼稚園に入る前はステロイドを使用していたほどでした。
アトピーの子供のケアに関して、仕事で家にほとんどいない私よりも、何倍も苦労をしているのが妻です。いまでも妻は登校・登園前、お風呂上がり、就寝前に子どもたちに薬を欠かさずに塗布しています。妻は「毎日薬を塗るのって大変・・・」「いつになったら治るのかな・・・」とたまに不満や不安を私にもらします。
きっと同じようなご家庭も多いのではないかと思いますが、そんなときにいつも思い出すことがあります。それは皮膚科医の清水良輔先生が、長年にわたるアトピー診療の経験からおっしゃっていた「子どものアトピー治療に父親がかかわるとよくなる子どもが多い」という話です。
最初にこの話を聞いたとき、ハッとさせられました。子どもの通院につき添ったこともほとんどなければ,薬を塗るのも妻にいわれたときだけでした。日々、妻や子どもの話に耳を傾けることができているのかと大きく反省しました。それから、妻や子どもに対する向き合い方が変わったと思います。たまに病院についていくこともあれば、夫婦の会話も量はともかく、質は上げられるように努力するようになりました。妻にいわせれば、まだまだ足りないと怒られそうですが(苦笑)。

★☆★☆ 10月号 ★☆★☆

「アトピー患者さんへの心理的支援を勉強しています」

私は大学院で臨床心理士の勉強をしています。病気と心の関係を学ぶほど、患者さんの心のあり方はもちろん、心理的支援も大切であると感じています。
ある授業の中で、アトピー患者さんに対する心理的支援が少ない問題を先生から聞き、家族のことを思い出しました。私の兄は幼少期のころからアトピーでしたが、症状について家族で話し合ったことがありませんでした。患部をかく兄のようすを見た母が「代わってあげたい」といっていたのを、私は隣で聞いているだけでした。
兄のアトピーを家族全員がよくなってほしいと思っていたものの、何をすればいいのかわからず、母が探した治療法を試していました。母の行動は献身的でしたが、一人でがんばりすぎていたと思います。家族やまわりの人からの心理的支援があれば、気持ちをらくにして兄のアトピー治療に向き合えたのではないかと考えています。「NPO法人アトピーを良くしたい」が開催しているアトピーサロン(情報交換会)の参加者は、アトピー有症者以外に、その家族の方も多くいます。アトピーの子どもを持つ母親の中には、同じようにがんばっている人の存在を知り、勇気づけられて帰られる人も少なくありません。
家族という近い存在だからこそ、何をすればいいのかわからない私がいました。もし、当時の私にアドバイスできるとしたら、兄や母が感じていることを知るために皮膚科医の清水良輔先生(皮ふ科しみずクリニック院長)から教えてもらった「『何か私にできることはある?』と声をかけてみよう」と伝えると思います。

★☆★☆ 11月号 ★☆★☆

「アトピーの人たちが安心できる場を作っています」

私は高校生のときにアトピーを発症しました。学生時代はひどい症状ではなかったものの、営業職として働きはじめてから毎日起こるトラブルにストレスを感じ、アトピーが悪化。その後、完治をめざして脱ステロイドの治療を行っている病院探しや食事療法をしながら、洗剤、洋服、化粧品にも気を遣いながら生活しました。
アトピーの完治をめざす努力は続けたものの、限界を感じていたときに中村亜希子さん(NPO法人アトピーを良くしたい理事)のブログでアトピーサロンを知りました。初めて参加したアトピーサロンでは、自分のアトピーについて素直に話せてとても感動したことを覚えています。
私は自分のアトピーに関して「話をする」機会があまりありませんでした。「ほんとうのつらさはわからないくせに」という反発心がどこかにあったからです。アトピーという同じ悩みを共有し、つらさを伝えることができる場に出合えて、大きな安心感を得られました。
私はストレスによってアトピーが悪化した経験から「心とアトピーはつながっている」と実感しています。症状が悪化しても、「自分にはつらさを話せる仲間がいる」と思うことで、心の安心を得られるようになりました。
現在は自分の経験や能力を提供するプロボノとしてアトピーを良くしたいのお手伝いをしています。アトピーで悩む方や家族、医師など、いろいろな方と出会うことで視野が広がり、人間性も磨かれています。これからもアトピーの人が安心感を持って、少しでも心の支えにしてもらえるように活動を続けていきたいと思います。

★☆★☆ 12月号 ★☆★☆

「体の弱い幼少期の経験から社会貢献を始めました」

いまでは心身ともに健康で元気に暮らしていますが、幼いころは軽度のアトピー性皮膚炎(以下、アトピーと略す)に
加えてとにかく体が弱く、入退院をくり返す日々を送っていました。病室の天井や病室の窓から見える景色をいまでも鮮明に覚えています。当時は、元気に外に出て友だちと遊ぶことが夢でした。私はしだいに、いつか元気になったら、私のようにつらい思いをしている人のサポートができる仕事に就きたいと思うようになりました。
一五年ほど前からブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などインターネット上で交流する場を通じて、同じ悩みを持つ人どうしがコミュニケーションできる時代になりました。SNSの発信を通して悩んでいる人の役に立ちたいと、一〇万人のソーシャルフォロワー(ネット上のつながり)を作って起業。そのときに代表の横井さんと出会い、「アトピーで悩む人々をハッピーにしたい」という思いに共感しました。
NPO法人アトピーを良くしたい(以下、アト良くと略す)では、アトピーをキーワードに患者さんやその家族がお互いに悩みを打ち明けて共感し、意見交換できる場(アトピーサロン)を定期的に開催しています。私は、アトピーサロンの取り組みをアトピーで悩んでいる全国の人に届けるサポート役として、SNSで発信を行っています。
インターネットが普及し、情報があふれる時代だからこそ「患者が一〇〇人いれば一〇〇通りのよくなり方がある」というアト良くの思いを正しく伝えていきたいです。

★☆★☆ 1月号 ★☆★☆

健康365小松

「医療の進歩に期待しながら日々行うべきことをしています」

幼少期にアトピー性皮膚炎(以下、アトピーと略す)を発症し、これまでの二十九年間をともに歩んできました。
日々、自分の症状について観察していると、年齢や時季、環境などによって症状の重軽度が異なることに気づきます。ときには、肌がきれいな状態からわずか数日でひっかき傷だらけになることもありました。
医療は日進月歩で発達していますが、アトピーの患者数が増えつつあることから、以前にも増してアトピーの注目度が高まっていると感じています。いまのところ断定的な原因因子の特定には及ばず、患者さんによって症状の内容はさまざまであることが実態として残っています。
私はアトピーについて、「アトピー=原因因子に対する直接的な対処法が現状では確立しておらず、常に悪化する可能性がある症状」ととらえています。このような事実があるものの、患者さん自身で症状を最小限に抑える努力を行うに越したことはないと考えています。
そこで私が日々、実践していて効果が大きいものをご紹介します。それは、①症状のようすや状態を毎日記録する、②他者とのコミュニケーションを積極的に行うこと、です。なお、これらの方法はアトピーに限らず、すべての症状に応用できると考えています。
アトピー患者さんには、一生つきあうご自身の体について理解を深めることを忘れず、いっしょに歩んでほしいです。同時に、医療のますますの進歩により、アトピーの原因因子の特定と、効果的な対処法が出現することを心から願っています。

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