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白根あずさ

アトピー発症時期
高校生の頃にアトピーが悪化し入院。そのときにアトピーだと認識した。
一番悪かった時の状況
頭皮から足首まで全身に血や浸出液が出て、服やシーツなどに染みついている状態。不快な匂いが人と会うときに気になり距離を置きたかった。
現在の状況
腕、足、お腹が汗などでかゆくなり、かさぶたができてしまうときがあるが、自然と治っていく程度。顔が一番キレイな部分。

いつ頃から発症し、アトピーはどんな状況だったのでしょうか?

5年に一度に体が悲鳴をあげるかのように悪化

生まれつきアトピー性皮膚炎でしたが、今までに3度(18歳、23歳、28〜29歳)最悪な状態を経験しました。
1度目は高校3年生18歳のとき、朝起きてパジャマから制服に着替えようとしても掻きすぎて身体が痛くて動かない、まともに着替えができないほど悪化しました。最初は母親も「学校に行きなさい」と言ってきたけれど、徐々に私のアトピーの深刻さが伝わり、かなり心配してくれるようになりました。

かかりつけの皮膚科に行ったところ「うちでは診られない…」と大学病院を紹介され、大学病院へいったところ顔を見るなり即入院と言われました。高校には母親が電話連絡してくれて、しばらく休むことに。

入院生活は看護師さん2人掛かりでステロイドを全身に塗られ、包帯などは巻かずにパジャマを着て安静にする、というものでした。1週間の入院予定でしたが、2日目の時点でもう退院できるのでは?と思うくらい良くなりました。全身を見て症状が消えていたし、着替えられなかったほどの痛みもすっかり消えていました。

この生活の中で一番嫌だったのは、主治医と研修医らしき若いドクターたち10名くらいがぞろぞろと私の部屋に来て、アトピーの症状のある背中や腕を見せることでした。年頃だった私はその時間がとても苦痛で、深く印象に残っています。

2日目で良くなっていた私のアトピーは、1週間の入院生活が終わる頃にはつるつるになっていました。毎日母親がお見舞いに来てくれましたが、初めての入院生活で緊張していた私は、家に帰れることが本当に嬉しかった。心からホッとしました。
退院してからも半年くらい、毎回血液検査をしてIgE数値が正常になるまで通院しました。

留学先のオーストラリアで悪化

2度目は大学留学のためオーストラリアに住んでいた頃です。
私は20歳〜24歳までオーストラリアに大学へ通っていました。留学しようと思ったきっかけは夢だったホテル経営学を学ぶため、そして視野を広げるため日本を出てみたいという気持ちからでした。オーストラリアを選んだ理由は、日本との時差が1時間程度であまり差がないこと、気候が良いこと、でした。留学を決めたときにアトピーの症状は無く、自分はもう完治したのだと思い、アトピーのことを一切考えずに色々なことを決めました。

オーストラリア行ってからは、紫外線が日本の8倍とも言われている環境の中、肌は相変わらずつるつるのまま。日焼け止めを塗らなくても問題は無く過ごせていました。食事は友達との外食が多く、今まで飲まなかったコーヒーを毎日飲み始め、シャワーは硬水で湯船には浸からず、特に運動もせず、よくお酒を飲んでたまに夜更かしもするけれど、アトピーは出てこず、やっぱり治ったと信じきって学生生活を楽しんでいました。

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ところが大学生活残りわずか、帰国する3ヶ月前に悪化しました。高校生で入院したあの時を思い出すくらい酷くなりました。主に上半身が酷く、顔や腕など見えるところにかなり症状が出ました。高校の頃のように休める状態ではなく、大学は1回休むだけでもかなり成績に響くので必死に登校していました。
顔がボロボロなので同級生と目を合わせられなくなってしまい、友達に心配されて病院を紹介してもらったりしました。大学内の保健室で採決した結果、ダニ、雑草、ハウスダストが数値が高く、それが原因だと思いました。住んでいたアパートの管理人にアトピーが発症したことを相談したところ、ダニの専門家らしき人を呼んでくれて、私の部屋をチェックしてくれましたが、ダニは見つからず。

しかし家に帰り夜寝るときに痒くなることが多かった私は「部屋を変えなくては」と思い、引っ越ししました。病院でステロイドを処方されていて症状が落ち着き始めたこともあり、新しい家では特に症状は出ませんでした。それから無事卒業することができ、帰国しました。

会社のストレスで大悪化

そして3度目の悪化は社会人になってから。今まで悪化した2回とは比べ物にならないくらい酷くなりました。そのときは自分でインターネットや口コミで色々と情報収集していてステロイドを避けるようになり、絶対薬を塗りたくなかったので病院にも行きませんでした。

薬を使っていないせいかものすごく状態は酷く、夜は痒くて眠れず、湯船は白く濁り、痒くて痛くてお風呂の中で叫びながら大泣きしたこともあります。私は声を出して泣くことはあまり無いのですが、そのときは声を出してわんわん泣きました。

原因がわからない再発に対して、悔しさと悲しさでいっぱいでした。家に誰かがいても孤独感が強く、心が沈んでいました。救急車を呼ぼうか?と母親に言われるくらい症状は悪化していきました。

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それから28〜29歳の2年間はずっと治らない時期が続きました。ファスティング、自然派化粧品、サプリメントなど色々試しましたが改善には繋がらず、やはりステロイドしか無いのでは…と思い、かかりつけの皮膚科医へ行くとそこでまた大学病院を紹介されました。

アトピーの状態が良くなったきっかけは何だったのでしょうか

思い切って退職して改善

あずさ写真7病院からは入院すればキレイになると言われましたが、断りました。ステロイド剤をたっぷり塗れば症状は消えることは明らかだったので、仕事のことを考えて薬だけたくさん出してもらいましたが、使っても再発1度目と2度目と違って改善する感じがしませんでした。

そして仕事も欠勤することも多かったので、思い切って退職しアトピー治療に専念することにしました。実はそのとき勤めていた会社ではあまり人間関係が良くなく、一番年下で新人だった私は先輩に睨まれたり、無視されたりしていました。そのときは仕事に必死だったのであまり感じませんでしたが、今考えればそのことがかなりストレスになっていたように思います。

退職してお金のことも悩みながら過ごし始めた頃、もらった薬は塗っても良くならないので塗らないでいたのに、猛スピードでアトピーが消え始めたのです。本当にびっくりしました。そして定期的に岩盤浴に行き汗をかくようになったら更に改善していき、退職後2〜3週間でアトピーはすっかり消えていました。

あずささんにとって、「アトピーが良くなるために大切だと思うこと」は何でしょうか?

仕事に完璧を求めない

今は転職して、昔からやりたかった仕事に挑戦しています。勤務時間や通勤時間は大きく変わりませんが、アトピーの症状は良くなったまま安定しています。

やはり職場の人間関係や環境、仕事に対する姿勢を変えたことが大きかったようです。
今までは完璧主義で自分にも他人にも厳しかったところがありましたが、今はあまり力を入れすぎずちょうど良いスタンスで過ごしています。仕事によって悪化したので、仕事も大切だけど我慢しすぎず自分の身体を最優先することを心がけています。

脱ステロイドにこだわらない

「いずれ治るだろう」と信じ、悪化していても我慢強く耐えて結局辛い思いをしてしまうのが今までの私でした。1度目、2度目はステロイドを使って良くなりましたが、3度目は脱ステで良くなりたいと思いがんじがらめになっていました。
どうしても酷くて社会生活もままならないのであれば、脱ステにこだわりすぎないのも重要だと思います。ステロイドに一時的に助けてもらってから、食事や生活習慣を見直すことを始めた方がいいかなと思います。

インターネットを有効活用

原因を考えてもすぐには分からないし、決めつけることもできないので、まず治すために対応し続けることが大事です。「これでアトピーがよくなった」というテーマのブログを探したりして、インターネットをフル活用することも便利な時代に生きていることの特権だと思います。そして原因を探すより、今の自分はどうすれば良くなるかを前向きに考えることがとても大切だと感じています。

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2015年10月8日