ゆきえさん

ゆきえさん

アトピー発症時期
娘が生後10ヶ月頃にアトピーを発症
一番悪かった時の状況
全身が真っ赤になり、かゆみで転げまわるような状態
現在の状況
軽度で、乾燥肌。首から下に症状が出るが、薬を塗れば落ち着く。

いつ頃から発症し、アトピーはどんな状況だったのでしょうか?

生まれたときから乾燥肌

発症は生後10ヶ月頃です。赤ちゃんにも関わらず生まれたときから乾燥肌でした。母親である私は子どもに皮膚トラブルがあるという発想が全くないまま時々湿疹が出るようになりました。ずっと母乳で育てていたのですが、私が産休後会社に復帰することになり、保育園で初めて離乳食をスタートさせました。さらに保育園で卵や牛乳を使ったものを食べさせていたら、湿疹がひどく出るようになりました。

この子が行くべき病院が見つからない

皮膚科の病院で診察してもらったところ、食物アレルギー性の湿疹とアトピーだということがわかりました。塗り薬を塗って治療しても、徐々に効かなくなっていくのでステロイドが強いものになっていき、私は不安を感じるようになりました。お風呂で体の洗い方を変える、洗濯のときに使う洗剤を変えるなど、お医者さんを信じて指示通りにやっても、娘の症状は良くならないしかゆみも止まらない。かえって悪化しているように見えて、どんどんお医者さん不信になっていきました。まるで「病院難民」のように3ヶ月ごとに病院を替え、9ヶ月間で3軒の皮膚科を渡り歩きました。「こんなにたくさん皮膚科の病院があるのに、この子が行くべき病院が見つからない!」という悲痛な思いでした。

全身がまるで火だるまのように真っ赤に

娘の症状はひどくなるばかりで、首から下は全て湿疹が出るようになり、かゆみが止まらず、昼夜問わず掻きむしりました。夜は2~3時間おきにかゆくて泣いて起きてしまい、その度に薬を塗ってあげました。最もひどかったのは、1歳半頃です。薬をつけずにはいられず、つけてもかゆいという状態にまで悪化し、ステロイドは5段階で一番強い薬を使っていました。私は「どうしよう…」ととても悩んで、自己流で「脱ステロイド」をしてみたのですが、余計に悪化。娘の全身がまるで火だるまのように真っ赤になり、かゆみで転げまわるような状態でした。

悩みや情報を共有できる人がいない

家族には「良かれと思ってやっているかもしれないが、それはお前のエゴだ」と言われ、どうしていいのかわかりませんでした。当時、私の周りにはアトピーの人はおらず、悩みや情報を共有できる人がいませんでした。私は働きながら子育てをしていますから、ママ友の情報を仕入れる術もありません。誰かに相談すると、皮膚科のお医者さんを紹介され、ステロイド剤を塗る治療、という繰り返し。このままでは、どうすることもできない…と、地獄のような日々が続きました。

アトピーの状態が良くなったきっかけは何だったのでしょうか

安心できるお医者さんに出会えた

安心できる皮膚科の病院が見つかり、ステロイドが入っていない娘に合う薬を使って「脱ステロイド」の治療を始められたことです。ステロイドを止めてすぐに症状が改善したわけではありませんが、徐々にかゆみが治まり、眠れる時間が長くなっていきました。安心できるお医者さんに出会えたので、あまりいろいろ考えなくとも「ひどくなったらこの薬を塗ればいい」という安心感を持てるようになりました。

飲み薬もお守り代わり

娘は、卵アレルギー、牛乳アレルギー、そしてアトピーです。お医者さんから「卵アレルギーは、小学生くらいになれば症状が軽くなることがある」と言われたので、それまではアレルギー源になるものを排除する食事にしました。保育園でも手作りの食事だったので良かったです。娘は言葉を話せるようになると、2歳くらいから「私が食べられるものはどれ?」と、自分から意識して聞くようになりました。もし、アレルギー源のものを食べてしまったら、飲み薬を飲んでもらうようにしたので、飲み薬もお守り代わりのようになりました。飲まなくても持っているだけで安心できます。

娘が成長し、相談しながら決められるように

今は娘が成長して、どこにどうかゆみが出て、どう対処するのか、相談しながら決められるようになったのでひとりで思い悩んでいた頃よりは楽になりました。まだ言葉を話せず、かゆくて泣いているのか、痛くて泣いているのかがわからなかったときは、親である私が全て決めてあげなければいけない。「やってみてダメだったら、違う方法を」というように、子どもを実験台にしているように感じてしまうのです。いろいろな治療法を試した結果、良くなればいいけれどまた悪化するかもしれない…、という不安といつも闘っていました。一番ツライのは本人なのですが、私も「この闘いはいつ終わるのかな…」終わらないなら、どうしたら楽しく暮らせるだろうと考えるようになりました。

ゆきえさんにとって、「アトピーが良くなるために大切だと思うこと」は何でしょうか?

「アトピー」というショルダーネームを外してあげる

監修医の良ちゃん先生も仰っていますが、「アトピーじゃないわが子」とコミュニケーションをとることが大切だと思います。「アトピー」というショルダーネームを外してあげることが必要です。例えばメガネをかけているとき、メガネが体の一部になっていて外すことを忘れているのと同じようなもの。メガネを外して、視野を広く持つ。視野が狭くなると、本人も親も苦しくなってしまいます。

好きなことをやっているときは、かゆみを忘れている

アトピーという側面は一つなので、それ以外のわが子を思い出してほしいです。好きなことをやっているときは、かゆみを忘れているので、やりたいことをできるだけやらせてあげるといいと思います。娘は、保育園の友だちとたくさん外遊びをしたり、体を動かすのが好きなのも良かったです。動いている間はかゆみが出ないし、汗をかいて、自分がアトピーだということは忘れていると思います。そういう時間を大切にすることが良いと思います。

親御さんも自分自身を大事に

アトピーの子を持つ親は、アトピーを発症している本人は自分じゃないという、どうしようもない壁があります。アトピーである本人という主役がいて、脇役である私たちが役に立っているはずなのに、どうしていいかわからない感じです。でも、自分を責めないでほしい。親が「自分が悪かったんじゃないか…」と思っていると、「お母さんがツライ思いをしているのは、自分のせいだ」と、子どもは自分自身を責めてしまいます。子どもにとっては、母親が最大の味方です。自分を律して、自分でがんばろうとする親御さんは多いと思うし、それは間違っていませんが親御さんも自分自身を大事にしてほしい。その方が子どもは幸せな気持ちになれると思います。

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2014年7月12日