はじめまして。NPO法人アトピーを良くしたい(アト良く)プロボノチームのきさいちと申します。みんなからは「きさいっちゃん」と呼ばれています。

 

約3年前にアトピーサロン(アトサロ)に初めて参加し、それから1年後にプロボノとしてお手伝いするようになりました。

 

私は2歳頃にアトピーを発症し、医者から処方されていた薬がステロイドだと知らずに塗り続け、中学三年の高校受験のストレスを機に薬が効かなくなり一気に酷くなりました。

 

その後15~22歳くらいまで、「ステロイドやプロトピックの使用 ⇒ 中断してリバウンド」という波を3~4回繰り返しました。23歳から脱ステを5年間頑張ったものの、転職活動時期にとてもひどくなり「このままでは働けなくなる」と思い、28歳の時にステロイドを再開しました。それから10年以上経つ今も、ステロイドと抗アレルギー剤を使用しながら生活しています。

 

今は顔に症状が出にくくなったので、ステロイドは顔には使わず、頭と体だけに使っています。他の人からはアトピーと思われない時もありますが、頭・首・下半身に強くかゆみと炎症が出る時期があります。

 

私は、夏場は比較的調子良く過ごせるタイプですが、何故か毎年8月中旬くらいからひどくなり始め、冬の乾燥でさらに酷くなります。本来夏場は調子が良いはずなのに、去年の夏はとにかく頭がかゆく、髪の毛で隠れていたので人目には分かりませんが頭皮がかさぶただらけでした。同じように眉毛の部分やモミアゲ、あごヒゲの所も毎日かさぶたができていました。逆に今年の冬はこれまでで一番楽に過ごせています。

 

これまで10件くらいの皮膚科に通院しました。皮膚科の治療では、ステロイド、プロトピック、ビタミンC注射、免疫ワクチン療法(減感作療法)、漢方薬、ルイボスティー、SOD食品、「漢方薬を煮出して風呂に入れ、毎日2~3回風呂に入る」治療等をやってきました。

 

民間療法では、クロレラ、プロポリス、アラエベラ、タウロミン、ドクダミ茶、シソエキス、小松菜りんごジュース、油絶ち、電気針治療、家中のダニ検査などをやりました。ダニ検査では、検査後に布団を防ダニ布団に変え、畳を防ダニ畳に変え、イスをメッシュ式に変え、絨毯をフローリングに変えたのに症状はほとんど変わりませんでした。

 

皮膚科も民間療法も最初は多少は良くなるのですが、だんだん思わしくなくなります。アトピーの治療には、色々な治療方法・方針があると思いますが、私の場合はアトピーの治療を食事中心に考えています。

 

25歳位から約10年間、毎日自分が食べたもの、睡眠時間、便通、かゆみの強さなどをノートに記録していました。それで分かったことは、私の場合は、食べ過ぎが続いたり甘いものを過食するとアトピーがテキメンに出てくるということです。実家へ帰省して気が緩んでたくさん食べたり、飲み会が重なり2~3日食べ過ぎが続くとかゆみが爆発します。そんな時は強いステロイドを何度回重ね塗りしても、抗アレルギー剤を倍量飲んでも、はたまた神様に「なんとかしてください!」と祈ってもかゆみは治まりません。

 

「食事はアトピーとは関係ない」という考え方や治療方針もあると思いますが、10年間毎日記録を取り、実際の体感として「私には」関係があると思いました。食事だけだけでなく、記録をつけることでその人なりの発見があると思いますので、オススメです。

 

食事が原因でひどくなった場合は、一旦食事量をぐっと減らし、甘いものと間食をやめ、いつもより早く寝るなど節制を2~3日続けると潮が引くようにスッと良くなります。

 

食事を治療の中心にし始めてから、食事と自分の体調の関係や変化が分かるようになったのは良かったのですが、一方で「自分が今、何を食べたいのか?」という気持ちより「(かゆくならないためには)今何を食べたらいいか。食べてはいけないか」という意識が強くなりました。

 

「本当は夕食に肉が食べたいけど、かゆくなるかもしれないから温野菜にしておこう」とか「本当はおやつにシュークリームかプリンを食べたいけれど、かゆくなりそうだからやめておこう」という感じです。

 

 

アトピーの症状が酷ければ酷いほど、その傾向が強まる感じがしています。

 

このように、食事には気を付けていますが、比較的良い食事や生活習慣を続けているはずなのに、原因が良く分らずアトピーがひどくなることも、一年の中で何度もあります。逆に飲み会でうっかり暴飲暴食した夜に、「こりぁ明日絶対かゆくなるな…」と覚悟していたら翌日なんともなく、むしろ肌の調子が良くて拍子抜けすることもあり、つくづく不思議な病気だなぁと思います。記録をつけることで傾向は見えてきますが、必ずしもそうでないという柔軟性をもつことも大切だと思います。

 

15歳から20代後半まではアトピーの症状が酷かったので、私も親も、私が一人暮らしをできるなんて思っていませんでした。しかし、薬(ステロイド)で炎症をコントロールすることが上手くできるようになり自信がついたため、30歳を過ぎた頃から「これはひとり暮らしできるかも…」と思えるようになりました。

 

33歳まで実家にいましたが、その頃の私は身長166センチ、体重が55キロでした。その後一人暮らしを初め、当初は自炊が(能力・時間的に)あまりできず、冷凍食品やスーパーの惣菜や弁当頼るようになり始め、次第に体調とアトピーが思わしくなくなり少しずつ痩せ始め、4年後に体重が48キロになりました。

 

そんな折、ある本を読み「過剰なタンパク質が胃腸で消化・吸収できず、また便からもうまく排泄できず、肌からなんとか排泄しようとするためにアトピーの症状が出ている。タンパク質を減らせば炎症を減らせる」ということを知り、すぐに実践しました。

 

具体的には、毎食のタンパク質の量を鮭の切り身でいえば2口位にまで減らし、それを1ヶ月位継続しました。結果的には一時的に炎症は軽減したものの、あまりにもタンパク質を減らしすぎたため、肌がガサガサになり、疲れやすく、覇気がなくなり、体重が45キロまで減ってしまいました。

 

あまりの体重減少に、職場の人や家族から痩せすぎを心配され、自分でも「ヤバイ!」と思いはじめました。そこで体重を増やすために、ジムに週2~3回通い筋トレをして、毎日プロテイン(原材料が牛乳)とチーズ、ヨーグルトなどの乳製品を摂るようになりました。

 

3~4ヶ月が経ち体重も50キロに戻り次第に健康的になった頃、今まであまり乳製品を摂っていなかったのに、急に毎日摂取するようになったため、乳製品アレルギーになってしまいました…。チーズを食べた10分後位から顔・首・全身が「ウワー!」っとかゆくなるのです。

 

その後、乳製品を一切止めてプロテインは大豆由来のものに変えました。毎朝1回とジムの後に1回飲んでいました。当初は問題なかったのですが、二年経過した頃に大豆プロテインのアレルギーになっていまいました…。大豆プロテインを摂るとまたもや顔・首・全身が「ウワー!」っとかゆくなるのです。

 

また、私は甘いものが好きなのですが、「仕事中の間食には、甘いものよりナッツが体に良い」と小耳にはさみ、毎日ナッツを食べるようになりました。その結果、ほどなくしてナッツを食べた後に少しアレルギー(かゆみ・湿疹)が出るようになりました…。

 

 

激しい症状は出ていませんが、パスタやパンなどの小麦も毎日食べているとかゆみや湿疹などのアレルギーが出る感じがしています。さらに、「油をやめればアトピーは治る」という本を読んで、1か月半くらい完全に油を完全に絶ったりもしました。始めた頃は炎症が軽くなった感じがしたので良かったのですが、反面猛烈な便秘になりだんだん体調が悪くなってしまいました…。

 

これまでの経験を振り返ってみて、

1.タンパク質を減らしすぎて体重が激減したこと

2.乳製品アレルギー、大豆プロテイン、ナッツアレルギーを起したこと

3.油を摂らなさすぎて猛烈な便秘になったこと

 

と様々な失敗を重ねてきて、現在では「一つの食品を毎日摂取したり、油をすべて絶ったり、薬(ステロイド)を完全に絶つなど、極端な選択は止めよう」と思いました。

 

また、ひとつの方法に固執するのでなく、一方に偏るのではなく「ほどほど」にゆるく治療をしていこうという意識に変わりました。(※但しゆるすぎないように注意)

 

色々なアレルギーを起こしましたが、時間の経過とともに現在では乳製品も大豆もナッツも少しずつ食べられるようになり、今では毎日摂らなければ大丈夫になってきました。そしてスーパーの惣菜や弁当を買うよりも、やはり自炊をした方が体調が良いので、現在はほぼ毎日自炊と、昼はお弁当を持参しています。

 

現在食事で注意していることは、「魚⇒肉⇒大豆⇒卵」と種類の違うたんぱく質を順繰りに食べるようにしています。いわゆる「回転食」というものです。あと、胃腸の声を聞くようにしています。毎日腹8分目では物足りなくて無理だとしても、腹9.5分~多くても10.5分位までにする。もし飲み会とかでうっかり腹12分目になった翌日は腹5~6分目にする。食欲がない時は無理して食べないなどです。

 

ステロイドは今も使用していますが、顔だけは保湿剤だけで済むようになりました。ですが、アトピーが酷くなったときはためらわず強いステロイドを短期間使います。

 

ステロイドは5段階の強さがありますが、自分の心の余裕を持つためとして、使用するのは4番目に強い薬までにしたいと考えています。「もし5番目の強さ(最強レベル)のステロイドを使ってもかゆみを治えられなくなったら恐いな」と思うからです。

 

もし4番目に強い薬でも炎症が治まっていかないのであれば、薬を強くするのではなく、自分の食生活や睡眠、仕事、ストレスの方に原因があるので、そちらを何とか改善しようとしています。皮膚科の先生には、「5番目に強いステロイドとステロイドの内服はしたくない」と伝えてあります。

 

あとイライラするとかゆくなかったのにかゆくなるので、なるべくイライラしないように気を付けています。(なかなか難しいですが)

 

ステロイドや食事については、それぞれに考え方があると思いますが、これが私のコントロール法です。これからも季節の変化・食事・ストレスなどでひどくなったり良くなったりを繰り返すのかもしれませんが、色々失敗をして自分なりに対処法が分かってきたので、「ほどほど」を意識しながらゆるい気持ちでアトピーと、自分の体とつきあっていきたいと思います。

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