こんにちは。アト良くのプロボノとして活動をしている齋藤小百合です。

私事ではありますが、このたび妊娠し現在出産を控えています。 自らアトピーを抱えている中で妊娠、出産についての不安や思いなどを同じ女性のみなさまにも知ってほしいと思い、コラムを書かせていただきました。

私が妊娠に気付いたのは、アトピーの悪化がひとつのきっかけでした。顔の赤みが発症し、身体全体の乾燥がひどくなり、常に粉をふいている状態が続きました。春先だったので、今年は花粉のアレルギーが特にひどいのかと思っていたのですが、それにしてもおかしいと感じ、病院に行ったところ妊娠初期であることがわかったのです。 嬉しさと戸惑いの中で、私はまずはアトピーの悪化で苦しむことになりました。仕事に支障が出ることから、顔の症状をステロイドで抑制しようと悩んでいたのですが、当時通っていた皮膚科医に「胎児に影響があるかもしれない」という話しを聞き、ステロイドを使わない軟膏を使うことにしました。幸いアトピー症状は少しずつ減っていき、つわりもひどくなくほぼ順調な妊婦生活を送ることができています。

妊娠、出産をきっかけに自らのアトピーが変化することはよくあることだと言われています。妊娠中に参加したNPO法人アトピーを良くしたい主催のシンポジウムでご一緒させていただいた、理事で皮膚科医の清水先生も「妊娠、出産でアトピーが良くなる人もいるし、悪くなる人もいる。こればっかりはわからない。」とおっしゃっていました。また、産院でも同様のことを看護師さんに言われたことあります。 アトピーの女性が妊娠に向けて抱える不安のひとつは「自らのアトピーが妊娠、出産をきっかけに悪化するのでは」という点ではないでしょうか。 私自身も妊娠初期にアトピーの悪化を経験したことから、出産後もまたひどくなるのでは、という不安がないとはいえません。 ただでさえ、女性の身体は妊娠をするとホルモンバランスの影響で赤ちゃんを迎える準備で大きく変化をしていきます。つわりがそこまでひどくなかった私も不眠や腰痛などに悩まされました。身体もかなり疲れやすくなり、妊娠すると身体が大きく変わることを実感したのです。

自らの身体の変化と同時に、「大事なお腹の赤ちゃんに自分のアトピーは影響するのでは」という点もアトピーの方が感じる不安ではないでしょうか。 私は妊娠初期のアトピー悪化時にステロイドを使うかどうか悩んだ際、インターネットで検索しながらアトピーの女性たちが同じ悩みを抱えていることを知りました。ステロイドを使わない選択をする方もいれば、ステロイドを適切に利用してアトピーと付き合っている方もいることがわかりました。この選択はそれぞれの考えがあり、良し悪しでは図れない問題だと思います。 また、自分が使っている(いた)薬が胎児に影響があるかもしれない、という懸念と合わせて、我が子にアトピーが遺伝するかもしれない、という不安もまた、出てくることでしょう。 アトピーの遺伝については、私が参加したアトピーサロンでも何度か話題に出たことがあります。私も我が子がアトピーだったら、という気持ちが妊娠当初からありました。一方で、私自身が家族で唯一のアトピー持ちで、高校時代から発症したことから、後天的な原因だったのでは、という考えもあります。幸い夫は花粉のアレルギーはありますが、肌は丈夫な方です。赤ちゃん用品はなるべく肌に優しいものを、と準備はしていますが彼の遺伝子が強く現れてくれるといいなと思っています。

今2つの私が感じている「不安」は、「産んでみないとわからない」の一言に限ります。自分自身のアトピーがどうなるか、我が子にアトピーに発症するか、は妊娠期の今は正直わかりません。 出産、育児は未知の世界であり、わからないことばかりで不安がなくなることはないでしょう。 ですが、私自身が我が子をお腹に宿して一番感じたことは不安よりも「喜び」でした。自分のお腹の中で動く我が子を感じたとき、何ともいえない感動がありました。日々大きくなるお腹を見ながら、自分の体内で育つ命の存在に感慨深く愛しいと思っています。

アトピーを抱えている女性の皆さんの中には、妊娠や出産に不安を持っている方もいらっしゃるかもしれません。ですが不安を乗り越えられるだけの強い力が母親にはあるのではと今では強く感じています。 私のお腹の中に来てくれたことを感謝しながら、出産のときを待つ日々を送っています。 私も自分の力を信じて、これから訪れる初めての出産、育児を乗り越えて行きたいと思っています。

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