「ATOPY DREAM WISH PROJECT Vol.2」の主人公は25歳のなつみちゃんです。もともとTwitterでアトピーサロンを知り、2014年8月に参加してくれたことが僕との出会いでした。当時アトピーの体調もかなり悪いようで、首にストールを巻きながら、一生懸命に参加をしてくれたことが印象的です。
プロジェクト参加のきっかけは?
なつみちゃんにこのプロジェクトの趣旨を説明し、こんな質問をしてみました。
よこい:「もし何でも夢が叶うとしたら何がしたい?」
なつみ:「アトピー良くしたいです!」
よこい:「そりゃそうだよね!(笑)、アトピーが良くなったとしたら何がしたい?」
なつみ:「夏に水着を着て思いっきりアトピーを気にせずに遊びたいですね☆」
みなさんは、このやり取りからどんなことを感じますか?普段皮膚を隠しているという裏返しですよね。僕も昔そうでしたから、痛いほど気持ちがわかります。
よこい:「それいいじゃん!その企画やろうよ!」
なつみ:「あ、でもダイエットもしなきゃです(笑)」
よこい:「そうかなー。あ、でも、水着ってのもNPOの企画としては行き過ぎか(笑)それじゃ、一緒にアトピー良くしてから、プロのスタイリストにキレイにしてもらって、プロカメラマンに撮影してもらうって企画はどう?」
なつみ:「えー!そのためなら、がんばれます☆、それに、おしゃれできない、着たいものが着られない辛さ。もし私の頑張っている姿をみて、他のアトピーの人の励みにもなるのであれば嬉しいです。」
よこい:「うん、一緒にやろう。」
ということで、2014年9月5日にこの企画がスタートしました。この企画には2つのポイントがあります。
- アトピーを良くすること
- キレイになること
この2点に注目してこの先を読んでいただければと思います。
汗の恐怖を払拭する決断!
実は、なつみちゃんは、アトピーがひどかったため仕事を休職していました。始めのミーティングで、月に1度程度は会ってミーティングすることと、その間はLINEでサポートすることを決めました。
よ:「まずはアトピーを良くするために、何をやっていこうかね?」
な:「マラソンをしようと思っています。」
よ:「お、いいね!」
こんな会話からまずはマラソンから始めることにしました。毎日2〜4キロを走り始めました。その間、肌の調子は多少良くなったり、悪くなったりを繰り返しました。
途中、LINEではこんなやり取りもしました。
よ:「今前向きに捉えていること、後ろ向きなことって何がある?」
な:「きちんと考えたいのでのちほどまとめてLINEします。」
そこでLINEできたのが下記の写真です。
汗に対する恐怖心がものすごくあることがわかりますが、彼女のすばらしいところはマラソンを選択したことです。そこにはその恐怖心を払拭しようという意気込みが感じられます。彼女のやる気を感じ、マラソンも続けていたので、順調にいっていると手応えを感じていた矢先のことでした。
アトピーと仕事のバランスをどう考えるか?
復職して1週間が経った10月8日のLINEのやりとりです。
な:
「けんたろうさーん。仕事し出すとやっぱりダメみたいで…一気に汁がでるとこまでぶり返してしまいました。痒いときの肌が熱をもった感じも…負けず嫌いもあってか、出勤すると最後まで頑張ってしまうんですよね…辞めて徹底的に治すことに専念したら?って母に言われてます。
やはり拘束時間が長いからキツイんじゃないかと…It’s time to face atopic eczema なのかも…心が負けそうなのです(*_*)」
よ:
「なつみちゃーん!そっか、そっか。辛いね。本当に仕事が原因なのか、辛いと思うけどもう少しだけ仕事をしてはどうだろうか。あと1週間。大丈夫ならまた1週間。それでも、仕事が影響してるなって思ったり、ほんとの限界!ってことなら、やめるのはいつでもできる。
働き方は、バランスをとりたいところだよね。やめるという前提があるとすると、うまく有休も使い果たしちゃうくらいでいいんじゃないかな。また、ダメ元で時間を短くしてもらうとか、職場に交渉をしてみるとか、やめるのはいつでもできるから、その前にやれることをやってみた方が良いと思うんだよ。
治療に専念するために仕事を辞めることは、一つの方法だし、反対はしないけど、その前にやれることをやってみて、それで辞めるのとでは意味が違ってくると思うんだ。
もちろん辛いのは痛いほどわかるよ。アトピー良くなるまで付き合うから、その点は安心してね^ ^」
な:
「ありがとうございます…(泣)もう二度目の復帰だし、今回は完全復帰だ!って意気込んでたんですが…確かに辞めるのはいつでもできるんですよね。昨日今日汁も出ちゃってだるくて、おやすみしちゃってます。予定あったのになぁ…なんてこれまた自分を責めてしまいます。
確かに方法を探ってみてからでも遅くないですね。まさかこんなに長引くとは自分でも思っていなかったので、戸惑いと焦りと、疲れにやられてます(^^;;アトピーって精神的にめちゃくちゃ疲れますね!!あー、ほんとにありがとうございます…(≧∇≦)
こういう私が良くなって周りに発信できたら、苦しんでる人の励みになるかなぁ!?頑張らないと⭐」
よ:「周りの励みになるに決まってるじゃん^ ^でも、ゆっくりいこうぜー!」
な:「自分も元気になり、周りも励ませたら、サイコーですね(((o(*゚▽゚*)o)))焦らず!!深呼吸で!!」
こんなやり取りが、体調の悪い9〜10月は毎日のように続きましたが、仕事は今でも続けています。また、なつみちゃんは帰国子女で英語が好きな様子でした。そこで、英語でやりとりすることを提案してみました。因に、僕自身は留学経験もありませんので、文章であればなんとか理解できるけどというレベルです(汗)僕の勉強にもなるし、彼女の得意なことを取り入れることで少しでも発散になると良いと考えました。
先ほどの、「It’s time to face atopic eczema」というのは、「アトピーと向き合うときなのかも…」というニュアンスです。アトピーがひどい中でも、モチベーションがしっかりしていることの現れだと感じていました。
半身浴に挑戦!
マラソンは単独事故(こけた)により、やめることになりましたが、2ヶ月くらい続けることができました。話し合って、半身浴を取り入れることにしました。温まると痒くなるため、かなりの抵抗があるようでした。普段はほとんどシャワーですませ、湯船につかることはなかったそうです。
始めは、3日に1度、38度のぬるめのお湯で、3分くらい湯船につかることから始めました。徐々に2日に1度15分程までつかれるようになり、汗もかきだせるようになったそうです。あれだけ苦手だった湯船に、この冬場はもう温まりたくてしょうがない、なくてはならない存在になったと言うのですから驚きです。
彼女を救った一言とは?!
月に1度くらい会って、話を聞きながら状態を見ていましたが、多少の波はあるものの、1月2月あたりは、スタートの9月と比べると別人のように良くなっていました。
そこで、スタイリストのMakicoさん協力の元、カメラマンさんや衣装の段取りをしてもらい、撮影日は暖かくなる4月12日に設定しました。ところが、今まで調子が良かったアトピーが、本番2週間前にして、首・デコルテあたりが悪化してきました。その状態で、Makicoさんとの打合せに臨みました。実は、このとき、なつみちゃんは焦っていました。体調悪いまま本番になったら迷惑をかけてしまうのではないか…
しかし、彼女のココロを楽にした一言があります。
Makico:「あー、大丈夫、悪かったらストールを巻けばいいし、そのとき考えるからね^^」
本番3日前まで、9月ほどの悪化ではないものの、まだ気になる程度の赤みがあったそうです。
しかし…
本番には見事にその赤みは消えていました。
さて、本番当日。ずっと雨だったのにこの日ばかりは嘘のように晴天でした。表参道にあるMakicoさんの事務所で準備をします。衣装は当日まで本人には内緒でした。あれだよ、と指差すと、「えー!あんなに肩がでて、短いんですかー!?」と驚いていました(笑)少し緊張しているようにも見えましたが、みんなで楽しい会話をしながら、メイクアップ、ヘアメイクの準備が着々と進んでいきます。
カメラマンさんも到着し、いよいよ撮影スタートです。ポーズの指示を出しながら、「かわいいー!」の声が飛び交います。
プロフェッショナルを感じました。スタイリストもカメラマンも笑顔でありながら目が真剣ですし、なつみちゃんを盛り上げようとするコミュニケーションには安心感がありました。
撮影は約2時間で終えました。みんなでカメラを覗き込みます。それを見たときに、何だか大成功の予感がしてきました☆さて、お待たせしました、この変身ぶりをご覧下さい^^
まずは、9月の悪い状態から、アトピーをここまで良くしてきました。
そして、本番2週間前の打ちわせのときの写真と本番の写真です。思わず、おー!と言ってしましそうですね。美しい!
撮影後、本人にインタビューさせてもらいました。
実際にプロにキレイにしてもらってどうでしたか?
キレイ!キレイ!と言われ、ウホウホでした(笑)もっとキレイになりたいという向上心がでてきました。それと、この撮影を通して、自分が気にしているほど周りは気にしていないということに気づきました。今までは隠してきたけど、もう開き直って、肌を出せばいいじゃない!という想いが芽生えてきた(笑)
今日は肌のアトピーを全く気にしていなかったです。いつもなら、赤みを隠したいなと思いながらメイクする。首が赤いなーとか、目の周りをうまく隠さなきゃと思いながら化粧をしています。でも、プロは隠すという視点ではなくて、どうしたらキレイになるかという視点でメイクをしていることに気がつきました。肌のことを気にせずに化粧をしているイメージを初めて持つことができたてほんとに嬉しかったです♪
なぜアトピーがここまで良くなったと思いますか?
撮影の写真はたくさんの人に見られるという意識です。キレイな私を見せることができたら、みんなに勇気を与えることができるという想いは、ずっとぶれずにあって、その想いが辛いときも支えになっていました。それを支えに行動し続けられたことが大きかったです。
精神面が関係していると思います。本番直前に悪くなってしまったとき、何をしたわけでもないのに、本番に向かっている自分のカラダがありました。本番直前ラスト3日で感じていたことです。
月に一度くらい謙太郎さんと会うたびにモチベーションが上がっていました。「そんなでてないじゃん!」という言葉が嬉しかった。人と会うことは薬の代わりです。また、辛くなったとき、かゆみの波に襲われてどうしようもないときに連絡させてもらっていました。
狂ったようなあの内側からくるかゆみのときに、同じ辛さを経験している人に相談できるというのは、一番心強いです。
「頑張れ」ではなく、「頑張ろう」という言葉に救われてきました。
苦手な夏はどうしていきますか?
いつもの夏は苦手な意識があるから、お気に入りのワンピースを着てもアトピーを隠すために一枚羽織るし、髪の毛も下ろして首のアトピーを隠しています。
でも今年は、季節にとらわれるのではなく、夏にむけて目標を立てたいと思います。肌の調子が良い今から、タンクトップやマキシワンピを買っておいて、それを着ることをモチベーションにしていきます。
アトピーの方、特に女性の方にメッセージはありますか?
ついついアトピーだけに目を向けがちですが、その中でも目標を見つけることで、それに向かって進むことができると思います。私も酷いときは「アトピー、アトピー、私はアトピーだから…」と、常にネガティブでした。今でも下を向いてしまうときがありますが、それでも、オシャレしたいなー、メイクしたいなー、腕出したいなー、そんな夢をいつも持ち続けています。一緒に目標を持ってみませんか?今回の企画を通じて、目標がある方が良くなるスピードが確実に早いと思いました♪
謙太郎さんはじめNPOのみなさん、スタイリストのMakicoさん、カメラマンさん、素敵な機会を与えていただき本当にありがとうございました!この企画を通して前向きな気持ちになれました!これから苦手な夏がやってきますが、モチベーションを上げながらやって行けそうな気がしています☆
2015年4月24日