あつみさん

アトピー発症時期
乳児の頃より。父がアレルギー体質で、遺伝的なものと思っています。
一番悪かった時の状況
【1度目】首から顔にかけてただれ赤みがひどく、精神的にも荒み、悪循環に陥る。【2度目】体の広範囲にわたって悪化し、一時的に内服のステロイドを使用。
現在の状況
とても良い状態。常に皮膚科に通い治療をしてきましたが、今は市販の保湿用品のみの使用で、処方薬はほぼ使用せず。20年ほど飲み続けた抗ヒスタミン薬の服用もなしで過ごせています。

いつ頃から発症し、アトピーはどんな状況だったのでしょうか?

小学生になる頃〜30歳を過ぎて

小学生になる頃には、外用ステロイドを使用していました。転勤族で、当時は空気のきれいな田舎に住んでいました。首や屈折部を中心に症状があり、少し遠くの大学病院の皮膚科に通う都合で、遅刻や早退をすることがありました。スイミングスクールに通うも、塩素によるかゆみ・悪化を気にして辞めました。

中学生になる頃に、今に続く東京暮らしがスタート。症状は小学生の頃の延長で、勉強が忙しい時は頭部にも症状が出やすかったです。気管支喘息にもなりましたが、程度としては部活動でバスケットボールを続けていられるくらいでした。

高校では引き続き運動部に所属。屈折部の色素沈着に悩んでいましたが、大きな悪化はありませんでした。自由な校風で、髪を染め化粧も楽しめていました。受験の頃、朝の陽ざしが白くまぶしく感じるようになりました。当時は勉強の疲れかと思っていましたが、白内障の出始めだったようです。

念願のキャンパスライフを満喫するさなかに20歳前後で1度目の重症化。初めて顔にも強く出て、精神的にひどく落ち込みました。何をするにもアトピーを意識し、制限してしまうようなことも増えましたが、反面、好きな音楽を聴きにライブハウスへ通い、時間があるときには海外旅行と、趣味を見出したのもこの頃です。

幸い、就活から卒業の時期には症状も回復し、販売職に就きました。アトピーを抱えての接客に不安がなかったわけではないですが、就職当時は、上手くコントロールしていきたいと思っていました。やはりそう甘くはなく、ストレスと免疫低下が誘因と思われる、今までにはなかった厄介な症状にも悩まされるようになりました。お腹中に毛包炎ができ、軽い帯状疱疹を度々発症。口唇ヘルペスが茶飯事だったことは対面への慢性的なストレスにもなりました。30歳を過ぎて2度目の重症化の際には、初めて内服のステロイドが処方されました。同時期に白内障が急激に進み、両眼の手術をしました。

アトピーの状態が良くなったきっかけは何だったのでしょうか

深刻化させない

良くなったきっかけというよりは、歳を重ねるにつれ自然に身についた意識のようなものですが、自己を確立し、執着等はやめ、良い意味での諦めなども持ち合わせながら、なるべく深刻化させないように心がけています。
思春期以降、成人アトピーが悪化した際、それまでのようにシンプルな治療ではコントロールができなくなりました。長期にわたり薬を使用してきたこと、体質の変化などに加え、おそらく精神的・心理的ストレスが、本来治せていたものを悪化に導いているのだと感じます。

今は11年間務めた会社を退職したところですが、どうしても拭えなかった精神的負担から解放された心地です。症状がひどいときには顧客から心配されてしまう始末。落ち着いていても、アトピー性の極度の乾燥肌で、化粧に関しては使うものを厳選し工夫しても、数時間後にはガサガサになってしまいます。休憩時に必死で保湿をし、せめてマナーレベルには整えたくても、特に口周りを中心に目立ってしまう乱れを隠せず…社会人としての自覚・美容への意識が低く見られることへの悲しみ、悔しさのようなものがありました。

時には、リセットすることも必要だと実感しています。次に仕事に就くころには、その時の体質や身を置く環境によっても、悪化するかもしれないけれど、良い状態で過ごせるかもしれない。必要以上にアトピーで悩まずに過ごせる道を模索中です。

あつみさんにとって、「アトピーが良くなるために大切だと思うこと」は何でしょうか?

自分なりの、アトピーとの付き合い方を考える

経験上、アトピーが好転した時と同じようにしていても、悪化するときにはします。根本からの体質改善を試みて、漢方を飲んだり、生活習慣を見直したりもしますが、思うような効果が得られないことも多く、根気のいる長い道のりです。この身体からアレルギーを完全には消し去れないのであれば、うまくコントロールしながら付き合っていくしかありません。
貴重なアトピー仲間で、私よりも症状が強く出ている友人が、仕事もプライベートもタフに過ごし、オシャレを諦めず、明るく人生を楽しむ姿に励まされたことがあります。
私の現状は、何よりも心地よく過ごすことを重視しています。回避すべきアレルゲンには気を付けつつ、諦めなくてよい楽しいこと、好きなものを大切に。穏やかな生活のために、薬を使用しての治療も選んできました。結果的に、精神的に安定していることが、症状の安定にもつながっています。

孤立はせずに、自立する!

落ち込んだときには、身の回りの家族や友人にでさえ、アトピーじゃない人にこの苦しみは分からない、と極端に心を閉ざし気味になることもありました。もういい大人ですが、2度目の重症化の際にやっと、近くで見守ってくれる存在のありがたみに気づきました。以降はその支えが活力となり、アトピーに関わることへの視野を広げたり、アトピーという枠をこえて、人が抱える悩みや問題を支援するような活動により興味が湧いてきており、自身のアトピーだけに悩んでいた日々よりも前進したと思います。

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2019年9月10日