こんにちは!NPO法人アトピーを良くしたい(アト良く)の中村亜希子です。
みなさん、「掻破(そうは)行動」はご存知でしょうか。掻いて破る、読んで字のごとく「掻く行動」だけのことだと思っている方もいるかもしれません。当法人のコラムやブログに何度も出てくるこの言葉、今日は改めて掻破行動について書いてみたいと思います。
普段、どんなときに掻いていますか?思い浮かべてみてください。帰宅後服を脱いだとき、お風呂の中、夜寝ているとき、お酒を飲んだとき、、いろいろな場面があると思います。
例えばお風呂の中で掻いているという場合、帰宅→洗面所へ向かう→服を脱ぐ→シャワーを浴びる→湯船に浸かる→掻くという「掻くまでのプロセス」があります。そのプロセスから実際に掻くまでをひっくるめて「掻破行動」というのです。
自分が掻いているとき&その前のプロセスを分析することを【モニタリング】といい、それを記録することを【レコーディング】といいます。これで自分がどんな瞬間に掻いてしまうのかを把握することができます。これにはひとつ大切なポイントがあります。それはなるべく細かくモニタリングすること。服を脱ぐ→Tシャツ、スカート、下着という順番で脱ぐ。掻く→右手で右足を掻く。というようになるべく細かな動作を入れる。なぜなら、その分対処できる方法も増えるからです。
代表横井はよく「お風呂上がりにタオルでこすりながら掻いちゃったよ〜」とか「ドライヤーで髪を乾かしながらくしで掻いてしまう」などと言っているのですが、こんな風に細かい行動を言えるということは、彼はしっかりと自分の掻破行動をモニタリングしているのです。
さあこの【モニタリング】【レコーディング】ができたら、次は【コーピング】です。コーピング(coping)とは、「問題に対処する、切り抜ける」という意味のcopeに由来するメンタルヘルス用語。要するに対処法のことを指します。
例えば
①帰宅
②洗面所へ向かう
③Tシャツ、スカート、下着という順番で脱ぐ
④シャワーを浴びる
⑤湯船に浸かる
というプロセスの中のひとつを
①帰宅
②洗面所へ向かう
③Tシャツ、スカートを脱ぎ
④下着は脱がずに(コーピング)
⑤シャワーを浴びる
⑥湯船に浸かる
こんな風に変えてみるのです。一見「えっ!?」と思うようなこの行動。これこそが【行動療法】であり、理事の皮膚科医良ちゃん先生も実際の診療で使っている手法のひとつです。このコーピングは、ユニークであればあるほど良いといわれています。それはなぜでしょう?
この間のNPO活動日に横井が私にとてもユニークなコーピングをしてきたので、分かりやすくマンガで描いてみました。
パソコンに向かって作業をしていると、よく無意識にポリポリ掻いている私。
本来コーピングは掻きはじめるもっと前の行動に導入するべきなのですが、この日は「かゆくなったら」という掻く直前の行動を変えてみることにしました。
そして
彼が行なったコーピング、それはただ握手するのではなく、その悪人面に満面の笑みを浮かべながら握手するというもの。
そのあと言い放ったセリフがまた面白かった。
「どう?俺の気持ち悪さで、かゆくなくなったでしょ?」
確かにかゆみがスーッと消えていきました。
ユニークであればあればえるほど良い理由、それはビックリするから。ビックリの度合いが大きいほど効果も大きくなります。
私の意識が、かゆみ<代表横井の気持ち悪さ(ごめんなさい)に向き、掻く行動を抑えられたのです。
その後も掻きそうになったら握手、掻きそうになったら握手、を繰り返し、最後の方は嫌になってきて(笑)掻きそうになることも無くなりました。
掻破行動における【モニタリング】【レコーディング】【コーピング】は自分ひとりでできます。
今回のように横井と私の関係性のまとまりを「システム」としてとらえ、さまざまな問題に対応していくという考え方は【システムズ・アプローチ】と呼ばれる家族療法のひとつ。これも良ちゃん先生が実際の診療で行っている方法です。
アトピーと心理、この話だけを見ても深く結びついていることがよく分かると思います。
今後も色々なチャレンジをしていきますので、お楽しみに〜^^