こんにちは。NPO法人アトピーを良くしたい(アト良く)プロボノメンバーの若月麻里子です。10月になり、ようやく秋らしい爽やかな季節になってきましたね。私は通常だと秋~冬にかけてアトピーの調子が良くなるのですが、なんだか今年は少し様子が違っています。現在上半身を中心に湿疹が出ており、かゆみが強くて気分がブルーです。良くなったり悪くなったり・・・私の身体は一体どうなっているのでしょうか。
さて、今日のテーマは「ネガティブに感じたり考えたりすることは悪いことなのか?」ということです。これはアトピーに限った話でもないのですが、世の中「ポジティブに考えること、行動すること」ばかりに目が向いているように感じることはないでしょうか?
私も、以前は仕事やプライベートでネガティブな感情が沸き起こってくるたびに、その感情をポジティブな方向に転換するように仕向けていました。「それの何が悪いの?むしろ良いことなのでは?」と思うかもしれませんね。「ポジティブな発想に転換する」こと自体は良いことだと思うのですが、問題は「仕向ける」という行動です。「仕向ける」というのは、「何らかの力を加えて流れを変える、働きかける」ということ。つまり、私は「本当の自分の感情=ネガティブな自分の感情」にフタをしてその感情を脇に追いやり、無理やりポジティブ発想に変えるようにしていたのです。
私は本来どちらかというとネガティブ発想の人間です。そしてそんな自分を嫌だとも思っていました。物事をもっとポジティブに捉えられたら、もう少し楽に生きられるのに…。そんな気持ちもあり、「ポジティブ思考」に一種の憧れのようなものがあったのかもしれません。一時期は無理にでもポジティブな発想に転換することで、まるで自分がポジティブ人間に変わったかのような錯覚を受けていたのですが、ずっとフタをし続けてきたネガティブ感情が、あるとき「無視しないでよ!」と言わんばかりにムクムクと沸き上がってきて噴火してしまいました。きっとポジティブ発想に転換しながらも、心のどこかで「これは自分の本当の気持ちじゃない」と思っていたのでしょう。
人生にはうまくいっているときと、うまくいかないときと時期によって波があるように、人の感情にも陰と陽の二つの感情が介在することが実は自然なことなのではないかと思うようになりました。この陰陽のバランスが自分の中で大きく崩れると精神的に不安定になるような気がするのです。つまり何が言いたいかというと、ネガティブな感情が沸いて来たら、その感情を隅に追いやって無理にポジティブに考えようとするのではなく、「自分は今、嫌な気持ちになっているのだな」とネガティブな自分の気持ちを認めてあげても良いのでは、ということです。
例えばこれをアトピーに当てはめて考えてみた場合、アトピーを良くするためには、本人の「治したい!」という強い気持ちとモチベーションの維持が大切だと私も思うのですが、いつもポジティブ思考でいられるわけでもないと思うのです。症状が悪化すれば気持ちも下がるし、かゆいものはどうやってもかゆいし、眠れなかったら集中力が欠けてイライラもするし、ボロボロになった自分の肌を見て泣きたくなることもありますよね。アトピーのことが本当に嫌で憎たらしいと感じることもあるでしょう。そしてそんな風に考えてしまう自分に余計に嫌気が差したりして…。
このサイトを見ている人の中にも、「今自分はアトピーとポジティブに向き合う気持ちになれない」、「アトピーでも良かった、なんて思えない」という後ろ向きな気持ちを抱えている人もいるのではないでしょうか。でも、それはむしろ自然なことだと私は思うのです。そういうときは、無理にポジティブに考えず、ただそのネガティブな感情や自分自身に向き合ってみてはどうでしょう?「今自分はどうしようもなくかゆくて仕方がないんだよ」、「こんなに肌がボロボロになって、自分は悲しいんだよね」と。ネガティブな感情も含めて自分自身を受け止めてみると、意外と気持ちが楽になったりするものです。ネガティブな自分もポジティブな自分もどちらも自分自身。両方の感情があるからこそ人間らしいとも言えます。沸き上がってきた自分の感情に素直に向き合った方が、無理してポジティブ発想にするよりは精神衛生上健康にいられるかも知れないですね。
そんなわけで、私は今、アトピーに対するネガティブな自分の感情に向き合っています。私の場合は、ポジティブマインド:ネガティブマインド=6:4くらいがちょうど良い精神バランスで、アトピーに対しても良い距離感を保てるように感じています。ネガティブな感情に向き合ったら、そのうちポジティブ思考が自分の中から自然に沸いてくるかもしれません。