みさこさん

みさこさん

アトピー発症時期
小学生の頃に発症
一番悪かった時の状況
全身にアトピーの症状が出て、かゆみのため眠れない状態
現在の状況
軽度。乾燥肌で、一時的に顔などに症状が出る

いつ頃から発症し、アトピーはどんな状況だったのでしょうか?

湿疹は薬を塗れば治まっていた

小学生の頃からひじ裏、ひざ裏に湿疹が出るようになりました。当時はまだアトピーの症状を持つ子どもは少なく、「アトピー」というよりは「湿疹」と言われていたと思います。大学生の頃までは薬を塗れば治まっていたので、生活に支障を来してはいませんでした。

「アトピーは大人になったら治る」と聞いていたのに

「アトピーは大人になったら治る」と聞いていたのに、社会人になったらかえってひどくなりました。最もひどかったのは30代後半で、10年以上通っている皮膚科の病院の薬が効かなくなり、病院も薬も変えましたが何をやってもダメでした。ひどいかゆみで眠れないので頭がボーっとして、夢遊病と同じような生活が何ヶ月も続きました。パジャマがグジュグジュの体に張り付いたり、体中の皮膚がポロポロ剥がれたり…。治したくても治らなくて、まるで出口の見えないトンネルの中にいたみたいでした。顔を上げるのも外出するのもイヤなのに、我ながらよく仕事に行っていたと思います。
かゆくて眠れない、掻くからひどくなる。それでも痛いのをガマンして患部を洋服で隠して出勤。仕事をしていてもかゆみも痛みも止まらず、本当にツラい日々で、まさに「QOL=生活の質」が低下した状態でした。

原因のひとつは、不規則な生活

ひどくなった原因のひとつは、不規則な生活だったと思います。仕事が忙しかったので帰宅はいつも深夜。食事は昼も夜もコンビニで済ませていました。それでも当時は、そんな生活がアトピーの症状がひどくなる原因だとは思いもよりませんでした。
私のアトピーの症状には波があり、ひどい状態でも皮膚科のお医者さんから処方された薬を塗るとスッと治る時期があって、一時的には良くなるものの、不規則な生活が続くとまた悪くなって「治ったと思っていたのに…」という残念な思いの繰り返し。今思うと、アトピーの自分の体をだましだまし生活していたのです。

アトピーの状態が良くなったきっかけは何だったのでしょうか

使っている薬の種類、体の状態、生活環境、自分の心持ち

良くなったり悪くなったりを繰り返している私の体験から考えると、使っている薬の種類だけではなく、体の状態、生活環境、自分の心持ちなどと薬がピタリと合うタイミングがあって、そのときに良くなるのではないでしょうか。

新陳代謝とアトピーの関係などの情報はなかった

若い頃はアトピーに関する情報が今のように多くはなく、インターネットもあまり普及していませんでしたから、本を読むことくらいしか情報を得る術がありませんでした。本には治療法は書いてありましたが、人間の新陳代謝とアトピーの関係などの情報はなかったのです。
それに私自身、アトピーは皮膚の表面の病気だと思っていましたし、子どもの頃から食べ物でアレルギー症状が出たことはなく、「アトピーの原因は食べ物ではない」と勝手に思い込んでいました。

必死になって一人でいろいろ試して

でも、ネットが普及し始めて情報を気軽に入手できるようになった頃から、「食べ物や生活習慣もアトピーに関係がありそうだ」ということがわかったので、白米を玄米に替え、お肉を食べるのをやめ、必死になって一人でいろいろ試しました。
体が悲鳴を上げていると感じたので、仕事についても思い切った決断をし、正社員だったのを業務委託にしてもらって、夜遅くまで仕事をしなくてもいいように働き方を変えました。
アトピーの症状を持つ人が、生活が不規則になるような仕事に就くのは相当な覚悟が必要だと思います。

通っていた皮膚科の病院を変更

その頃、薬はステロイド剤を使っていませんでしたが、「こんなに体中が火事のようになっているのだから、消火器で全部消してからでなければダメかもしれない」と考えを改め、通っていた皮膚科の病院を変更することにしました。周囲から評判の良い皮膚科へ行き、お医者さんが処方したステロイドが入った薬を使っているうちに、私のアトピーはスーッと良くなっていきました。

アトピーが良くなると聞けば

アトピーの治療にはたくさんのお金をかけました。アトピーが良くなると聞けばいろいろなものを買いましたし、新幹線で大阪の皮膚科まで通ったこともあります。いろいろな皮膚科の病院にかけもちで通っていたので、治療費がかなりかかりました。皮膚科のお医者さんについては、何時間でも語れるくらいです。

みさこさんにとって、「アトピーが良くなるために大切だと思うこと」は何でしょうか?

自分でアトピーと向き合わなければ

子どもの頃のアトピーは、親がなんとかしてくれていましたが、大人になると自分でアトピーと向き合わなければなりません。だから本人の「本気で治そうと思う気持ちと、その気持ちを実行する行動力」が大切だと思います。自分が良くなろうと思うといろんな情報が入ってくるようになり、このサイトやアトピー関連イベントのことも知って、新たな出会いに結びつきました。

しっかり治そうと決心

私はアトピーを持つ人やその家族が集まるイベントに参加して、気持ちが軽くなりましたし、「80歳になっても皮膚科の病院に通うのはイヤだな」と思い、しっかり治そうと決心しました。
その後、たまたまインターネットで見つけた皮膚科のお医者さんは、全身を触って診察し、患部の症状によって細かく薬を使い分けたり、「アトピーの人は腹筋がないから猫背」と仰って腹筋の練習をさせたり、ツボを押してリンパの流れを整えたり、とてもユニークな診察をします。
それから、体に良いのは「食事、睡眠、運動」といわれていますし、深い呼吸が大事とも聞くのでヨガをやっています。ヨガで呼吸が整うとよく眠れますよ。
なんでもいいので、その人に合うスポーツをした方がいいと思います。

できれば隠しておきたいと思っていたけれど

これまで私は、アトピーのことはできれば隠しておきたいと思っていたので、親にも症状を伝える程度でしたし、会社でも「アトピーです」と言ったことはありませんでした。
このサイトやアトピー関連イベントのように、お互いの症状を話せる場で「アトピーの治療のために休職した」という方のお話しを聞くと、私もアトピーを治すために数ヶ月でも仕事を休んで治療に専念していたら、こうして何年も体のどこかに火種を抱えたような生活を送ることはなく、人生が変わっていたかもしれないと思うのです。

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2014年7月3日