こんにちは。アト良くプロボノの若月麻里子です。冬も真っ盛りですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?私のアトピーは夏よりも冬の方が調子が良くなる傾向にあり、今の季節は比較的おだやかに過ごしております。

 

 

そして、冬といえば温泉が最高に心地良い季節ですよね。みなさんは温泉旅に出かけることはありますか?私はここ10年くらい、日本各地の色々な温泉に出かけるようになりました。実は元から温泉好きだったわけではないんです。ちょうど10年ほど前、通っていた皮膚科の薬(ステロイド)が効かくなり、薬以外の方法でアトピーを改善できる方法がないかと探していて、そのとき、偶然社会人向けの温泉研究講座を見つけたのです。温泉地に行くと、成分表などにその温泉の効能などが書いてあって、そこによく「アトピー性皮膚炎」って書いてあったりしませんか?そのことを思い出し、このような研究講座に出たら、自分のアトピーに効き目のある泉質が見つかるのではないかと思って参加したのです。

 

 

実際にその講座に参加して、日本は火山国であるがゆえの温泉大国であり、成分や効能の違う様々な泉質が存在することを知りました。こんな国は世界を探してもそうそうなく、日本は非常にユニークな国なのですね。せっかく温泉大国に生まれたのだから、この豊富な資源を利用しない手はない。色々な泉質の温泉に行ってみて、自分の肌に合いそうな泉質を探し当てよう!と思い、それから積極的に日本各地の温泉に出かけるようになりました。

 

それまで「温泉旅行」といえば、旅行のパンフレットなどでお得なツアーを見つけたときに友人や家族と出かけるくらいで、泉質を気にして旅行先を決めることはありませんでした。でも、この講座をきっかけに、温泉好きの友達ができたことで私の温泉旅のスタイルも随分変わり、今では温泉地の特徴や特定の泉質を目指して旅行先を決めるようになりました。

 

(出典:日本温泉協会「温泉名人」HPより)

 

 

ところで、日本にはどんな泉質の温泉があるかご存知でしょうか?上記は日本温泉協会の「温泉名人」HPに掲載されている温泉成分表なのですが、ざっと10種類ほどあります。では、どんな泉質の温泉がアトピー肌には合っているのでしょうか?これは私が実際に色々な温泉に入って感じた経験を元にしており、すべてのアトピーの方に当てはまることではないので、あくまで「私個人のケース」として、参考程度に読んでいただければと思います。

 

「単純温泉」は無味無臭のマイルドなお湯だと言えると思います。アトピーが改善するかどうかは別として、アトピー肌には刺激が少なく、「安心して」入れるお湯ではないでしょうか。

 

「塩化物線」は、塩分が含まれたしょっぱい温泉です。塩のベールによって肌が包まれ保温効果抜群ですが、長く入ると体が熱くなりすぎ、私の場合は痒みが誘発されることもあるので、長い時間入らないように注意しています。

 

「炭酸水素塩泉」は、石鹸水のような役割を果たし、肌の角質や汚れを落とす効果があります。温泉から上がった後は角質が取れてお肌がすべすべになるのですが、角質が取れた分、乾燥が進むので入浴後の保湿はいつもより入念に。

 

「硫酸塩泉」は無味無臭で目立った特徴はないのですが、温泉から上がった後はさっぱりした感触で痒みもあまり出ず、入浴後はよく眠れます。蛇足ですが、胃腸にも良い泉質で飲泉も効果的です。

 

「二酸化炭素泉」は、日帰り温泉などでも人気が高い「炭酸泉」です。お湯に入るとほどなくして肌に小さな泡がつくアレですね。炭酸によって血の巡りが良くなるので、温度が低くても体が温まり、肌に効くというよりもデトックス効果が高い印象です。また、入った後はお手洗いの回数が増えて、毒素が体から抜けていくような感覚がありました。

 

「酸性泉」は、苦みと酸味のある殺菌効果の高い泉質です。アトピーにはこの酸性泉が効くとよく言われていますが、それはこの殺菌効果の高さゆえだと思われます。特に浸出液が出ている湿疹があるときは、酸性泉に入ることで湿疹部分が乾燥してかさぶたになり、そのうち傷がふさがるようです。ただ、ひっかき傷などがあるとお湯が染みて痛いので、湿疹の状態によって注意が必要です。私は酸性泉に入るときはなるべく湯舟の中で体をこすらないように気を付けています。

 

「硫黄泉」はご存知のように卵の腐ったような強い匂いが特徴で、一番「温泉らしい温泉」といえるかもしれません。無類の温泉好きにはたまらなく、アドレナリンが噴き出す匂いでもあるようです(笑)。私は硫黄の匂いは好きなのですが、あまり長く入りすぎるとこちらも体が痒くなるので長く入りすぎないとようにしています。それと、硫黄の成分が残ったままだとこれまた痒みが誘発されるので、湯上りには必ずかけ湯をしてから上がるようにしています。

 

「放射能線」は「ラジウム線」ともいい、自然治癒力や免疫力を高める効果がある温泉です。肌に直接効果はなくても、免疫力を高めるという意味では間接的にアトピーにも効果が期待できそうですね。また、お湯に浸かるだけでなく、温泉の蒸気を吸い込むと呼吸器にも効果的で良いようです。(「含鉄泉」、「含よう素泉」は、ほとんど経験がないので感想をお伝え出来ないのが残念ですが、今後ぜひどこかに行って自分で実験してきたいと思います。)

 

 

ということで、結果からいくと、今のところ自分の肌にあまり負担がなく、痒みが誘発されずに心地よく入っていられるのは「硫酸塩泉」だということがなんとなくわかってきました。ただし、硫酸塩泉に入ったからといってアトピーが劇的に良くなるわけではないのですが、入った後は肌が落ち着いて痒みが減るので、その日はよく眠れ、精神的にも安定します。また、温泉旅は日常生活とは違う場所に行って保養や療養する「転地療法」にも適しているので、旅好きでお風呂好きな人には楽しみながら試せる方法なのではないでしょうか。(ただし、自己責任でね。)

 

 

ちなみに、関東近郊の硫酸塩泉の温泉地には群馬県の四万温泉があり、東京からも比較的近く高速バスでも行けるので、私はお気に入りの温泉地として何回かリピートしています。次回は四万温泉も含め、アトピー肌の観点から、行ってみて良かった温泉地についてご紹介できればと思っています。

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