こんにちは、NPO法人アトピーを良くしたいのプロボノの齋藤小百合です。

 

 

前回、「アトピーの私が妊娠して感じたこと」を書かせていただきました。その後、無事に2017年12月に元気な男の子を出産し、現在は慣れない子育てに奮闘しております。

 

 

かなり遅くなってしまいましたが、今回は私の出産後のアトピーについて書きたいと思います。

 

 

妊娠中にもアトピーが悪化し、産後に自分自身も悪化するかも、という不安を抱えていた私ですが、結論から言うと、出産後にアトピーは悪化をしました。

 

 

最初は出産した直後。まだ入院をしているときに出産翌日に顔が真っ赤にはれ上がってしまいました。あまりの変化に看護師さんからも心配されるほど。帝王切開で切ったお腹の痛みが残り、初めての授乳に苦戦して辛い中、肌の赤み、痒みはさらに追い打ちをかけました。私は総合病院で産んだので、入院中に皮膚科にかかり、ステロイドとプロトピックを処方してもらいましたが、プロトピックの説明書きに「妊娠中、授乳中の使用は控えてください」の文言が。それでも薬剤師さんは「母乳に出ることはほとんどないので大丈夫ですよ」と言っていましたが、「やはり薬は怖い」と感じ、結局使わず。今まで使っていたステロイドなしの軟膏を塗り続けて、いつの間にか肌の赤みも2日程度で消えていきました。

 

 

その後、実家での里帰り期間を経て自宅に戻り子育てに励むのですが、気候による波はありましたが、そこまでの悪化はありませんでした。

 

 

しかし、慣れない子育てでストレスが爆発したせいか、今までで2回倒れてしまいました。そのうち1回は入院にまで至ることになり大きなダメージを受けたのです。

 

 

最初は9月、手にぶつぶつとした水疱ができているのに気づきました。最初は主婦湿疹の一環かと思っていたのですが、水疱が全身にも広がり、慌てて病院へ。そこで言われたのは「カポジ水痘様発疹症」という病名でした。私は初めて聞いたのですが、アトピーの患者さんがよく発症する病気だそうです。点滴で抗生剤を使うことになり、一時母乳は断乳。息子とも隔離をしていて過ごしていたのですが、この時断乳する直前に与えていた母乳のせいか息子にも感染をしてしまい、同じように水泡が顔にできてしまいました。自分のせいで発熱も出てつらそうな我が子を見るのは本当に辛かったです。幸い夫の両親が近くに住んでいたため、ほとんどの面倒を見てもらい、なんとか乗り切ることができました。

 

 

症状も落ち着いて日常を取り戻していた11月、風邪をひいたことから再度同じ症状があらわれてきてしまったのです。今度は顔全体に広がり、前回よりもひどく腫れあがってしまい、総合病院に一週間入院することとなりました。息子は前回と同じく夫の両親に預けることに。ひどくむくんだ顔は見るに堪えない状態で、ガーゼでぐるぐる巻きにされて、息子と離れて過ごす虚無感、周りに迷惑をかけている罪悪感とともに、病院で一週間過ごしたことを覚えています。肌の状態がよくないと再発する可能性も高いというのが皮膚科医の見解で、薬を使うことに抵抗はありましたが、もう二度と同じような病気は起こしたくないと思い、今では弱いステロイドを塗り、掻き壊しがひどい部分の炎症を少しずつ抑えているところです。

 

 

この発病は私にとって肉体的にも精神的にもかなりつらい経験でしたが、今までの生活を振り返るきっかけにもなりました。

 

 

この1年間の子育てを振り返ってみると、息子の健康や成長ばかりに集中してしまい、自分の健康は二の次の状態だったなと思っています。次回詳しく書きますが、息子も生後3か月頃から乳児湿疹が出始め、毎日彼の症状や痒がる姿を見てきて日々悩んでいました。そうした悩みもストレスのひとつだったことは間違いありません、

 

 

体力的に辛いのは寝られないことです。新生児の時には夜中に子どもが寝ず、授乳と抱っこをひたすら朝まで繰り返す日も少なくありませんでした。個人差はあると思いますが、我が子は1歳を過ぎてもまだ夜泣きをしています。出産をしてから長時間ゆっくり寝られた、という日はほとんどありません。

 

 

当然睡眠時間が削られることで、自らの体調もしんどくなり肌の調子も落ちますが、私が日々感じていたことは「自分の体調に構っている余裕なんてない!」という悲痛な思いでした。24時間我が子第一の生活で、私は自分の顔を鏡で見る時間も少なくなりました。仕事も退職し、専業主婦になり、家で過ごすことが増えたことで、対面での関わりが減ったため、いいのか悪いのかわかりませんが、アトピーの症状は以前よりも気にする余裕がなくなりました。

 

 

育児は慣れない中で本当に大変です。何をやっても泣き止まないと辛いし、動き回るようになれば追いかけて、思い通りにならないことにイライラもします。常に睡眠不足だし、子どもの離乳食作りが大変で自分のごはんは適当。子育て真っ盛りのそんな状態は「アトピーが悪化しやすい条件」に当てはまっているのはないでしょうか。

 

 

ですが、子どもの健康管理はもちろん、親である自分自身の健康管理も怠ってはいけないのだと発病により実感をしています。

 

 

突然の入院でいきなり母親がいなくなってしまった息子はおばあちゃんの家でおとなしく過ごしていたそうです。よく我慢していたよ、と義母は言っていました。退院し、一週間ぶりに会った我が子は少しびっくりしたような顔をして抱きついてきました。ごめんね、と何度も言いながら抱きしめて泣いたことは一生忘れません。あんな思いは二度とさせたくない、と心に誓っています。そのためには、忙しい中でも自分自身の体調も守っていかなければと思っています。

 

 

アトピーの女性は真面目な方が多いと感じています。母親という立場になり、より責任感を感じて自分で抱え込む方もいるのではないでしょうか。そんな時にはぜひ周りのサポートを積極的に活用して育児に取り組んでいってほしいと思います。幸い私は夫の両親が近くに住んでいるため、息子を預けて時々自分の時間を作るようにしています。距離があるなどでなかなか家族に頼めないという方は、友人や地域の子育て支援センターなどで話を聞いてもらうだけでも楽になるかもしれません。無理をせず、周りに助けてもらいながら自分の体も労わることがこれから続く長い子育てには不可欠です。

 

 

アトピーで長年苦しんだ私にとって「まずは自分の健康が第一」がモットーでした。出産を経て、自分と同じように、もしくはそれ以上に大切に思える存在ができたことを改めて実感しています。毎日泣いたり笑ったり…。日々成長する我が子を間近で見られるのは、私の人生にとってとても充実した時間となっています。

 

 

息子がこれからも元気で過ごしていけるよう、一緒に健康な体を作っていくことが今の私の最大の使命です。自分のアトピーともしっかりと向き合いながら、この使命を乗り越えたいと思っています。

 

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