こんにちは。プロボノで活動している齋藤小百合です。

 

 

前回は出産後の私自身のアトピーについて詳しく書かせて頂きました。少し期間が空いてしまいましたが、今回は出産した子どものアトピーについて経験と感じたことをお伝えできたらと思います。

 

 

妊娠中からお腹の子どもにアトピーが遺伝するのではないか?、という不安はずっとありました。冬産まれだったのでお風呂上りや乾燥したときの保湿は欠かさず行っていましたが、3ヶ月頃から子どもの顔と頭に湿疹が出て来てしまった時は本当にショックでした。すぐにひけばいいなと思っていましたが、どんどん顔の赤みは広がっていくばかり。悩んだ挙げ句に自宅の近くで評判だった皮膚科に子どもを診てもらうことにしました。幼い息子を抱えて長時間待っての診察の後、出されたのは弱いステロイドの薬でした。医者から感染の恐れがある、と言われて早めに治してあげたいと思い、その日から薬を使うことにしました。塗った翌日にキレイになり、薬の威力を実感させられました。すぐに治って良かった、と安心し、一週間後に訪問した皮膚科でもあとは保湿で大丈夫そうですね、と言われたので薬をやめることに。

 

 

しかし、ステロイドをやめたその次の日からまた赤い湿疹が出てきてしまったのです。私は愕然とし、「薬はやはり対処療法でしかなかったんだ」と気付かされ、安易にステロイドを使ったことを激しく後悔しました。その後、インターネットで「赤ちゃん アトピー」で検索をする日々。アトピーに関する本を読み漁り、信用できそうなサイトを見たり、経験談の書かれているブログを読んだり。そしてまずは私自身もアトピーの治療で使用したことのある保湿剤を注文し、たくさん試しました。

 

 

ですが、なかなかよくなる傾向がありません。引き続き情報を探し続けて、ある本で紹介されていた脱ステロイドの皮膚科が住まいの近くにあることを知りました。その病院は脱ステロイド、脱保湿を掲げており、アトピーの赤ちゃんには早めの離乳食を取らせてたんぱく質を摂取することで肌の改善を目指すものでした。最初の診察で「脱ステロイドは過酷ですが、お母さん覚悟はありますか。」と聞かれました。そのときは当然「はい」と頷きましたが、その後の日々は想像以上に辛い日々でした。その病院ではたんぱく質のため母乳よりもミルク、と指導され、母乳の回数を減らすことを言われました。母乳メインで育っていた息子は当然大泣きです。これがとても辛かったです。息子が毎日大泣きをする中、私も泣きながらトイレで母乳を絞っていました。

 

私のせいで息子にこんなにつらい思いをさせてしまって、本当に申し訳ない。

 

 

私がアトピーだったせいだ。

 

 

私がもっと妊娠中に気をつけていたら。

 

 

私が帝王切開で産んだからだ。

 

 

自分を責め続けて、毎晩息子に「ごめんね」と言いながら泣いていました。
ある日、夫から「そのごめん、ってなんなの?毎日ごめんねって言われて子どもはどう思うとおもう?」ときつく指摘されました。

 

 

その言葉は私の心に突き刺さったことを覚えています。

 

 

私が息子に「ごめんね」と言っていたのはただのエゴだったことに気づかされたのです。

 

 

私が「ごめんね」と言い続け、「私のせいで」という罪悪感を抱えながら息子に接していても、彼のアトピーが良くなることはないのです。同時に、いつも息子のアトピーの症状にばかり集中してしまい、日々成長してくれている息子にきちんと向き合っていなかったのではと考えさせられました。それからはアトピーの良し悪しにかかわらず、息子に対してなるべく明るく接し、私自身も少しずつ前向きに楽しく過ごすことを心掛けました。

 

 

息子の成長も順調に進んだこともあったのか、私の心持ちが変わったのもよかったのか、7か月~8か月頃には、ジュクジュクしていた顔の湿疹がかさぶたになり、だんだんと肌がきれいになっていきました。顔の湿疹はどうしても目立っていたため、気軽に外に出ることも抵抗があったので、改善が見られたときは嬉しく、安心しました。

 

その後1歳半をすぎた今、一番ひどかった顔の湿疹はだいぶ落ち着き、私の気持ちもだいぶ楽になりました。ただ、残念ながら完全には治ってはおらず、足や腕を毎日痒そうにしており、掻き壊して血だらけになることもあります。そういう姿を見ていると、やはり「私のせいでつらい思いをさせて申し訳ない」という自分を責める気持ちがないわけではありません。

 

 

ですが、ふさぎこんでいるだけだった以前より息子のアトピーについて受け入れて、少しは前向きに行動できていると思っています。それは、母親が自分を責めても子どものアトピーはよくならないと気づけたからだと思います。母親はどうしても約十か月間も自分のお腹の中に子どもを育て、自分のお腹を痛めて出産することから、我が子の疾患を母親である自分のせいであると思いがちです。

 

 

私自身も息子のアトピーが発症したのは、自分のアトピーの遺伝や妊娠中の不摂生、仕事で無理をしすぎたからではないかのではと自分を責め続けました。もっと妊娠する前から体調に気をつけて生活していれば、と心底後悔しました。

 

 

でも、過去を悔やんでも未来が変わることはありません。どんなに母親が罪悪感を感じても、子どものアトピーが改善することはないのです。

 

 

今母親の私ができるのは、過去の自分を責めることではなく、これから未来を生き続ける息子のために最大限サポートをしていくことです。毎日の食事はもちろん、衣類に気をつけたり、できる限り快適な睡眠をできるよう日々考えるようにしています。それは私がアトピーで苦しんで試行錯誤してきた経験が生かせると思っています。

 

 

先日受講したカウンセリングのセミナーで「罪悪感を感じるのは愛があるから」ということを学びました。子どものアトピーが自分のせいだと強い罪悪感を感じているお母さんは、その分我が子のことを深く愛しているからに他ならないのではないでしょうか。罪悪感、自分を責めることはマイナスの感情ですが、我が子を想う愛情は最大のプラスのエネルギーです。プラスの感情を味わうことは親子両方にとって大切なことだと思います。

 

 

幼少期のお子さんのアトピーにおいて、母親は重要な存在であるといわれていると聞きました。生活面のサポートはもちろん、精神面でも大きな支えであることは間違いありません。そしてその分負担やお子さんを想う心労も大きくなっている場合も多いのではないでしょうか。

 

 

 

 

アトピーサロンでもアトピーのお子さんを持つお母さん方がたくさん参加されています。私自身もアトピー患者当事者としてだけではなく、母親としても参加するようになり、参加者の方のお話がずいぶん違って聞こえるようになりました。アトピーを持つ子どもの気持ちや親のどんな支援が必要なのか、ということを毎回考えさせられ、勉強になっています。アトピーのお子さんを持ち、何かしら悩みを抱えているお母さん、ご家族にはぜひ一度アトピーサロンに足を運んでみてほしいと思います。

 

私も日々落ち込むこともありまだまだではありますが、自分の体調も整えながら息子のためにできることを考えるようにしています。私の経験が我が子のアトピーのことで自分を責めているお母さんが楽になり、少しでも前向きに考えて過ごせるようになれば嬉しいです。

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